□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年2月10日発行 第41号 ■ ────────────────────────────── 民主党政権の手で幕引きされた外交機密費上納問題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 就任早々、「そんなん、あるんですか」ととぼけて見せた平野官房長官は、ついに 外交機密費上納問題の調査を幕引き宣言した。 9日午後の記者会見で、官邸としては資料がなく調べるすべがない、と言い、これに対し 記者側の厳しい追及もなかったようだ。 おりから2月6日の各紙は、神奈川県警の不正経理発覚を報じていた。 あの仙波敏郎元巡査部長の捨て身の告発で明らかになった警察裏金の後も、なお不正が粛々と 続けられていた事にあらためて権力者の厚顔を思い知る。 天をもおそれないこのような権力者の悪が続くのも、権力者同士の庇い合いがあるからだ。 今回の小沢政治資金疑惑問題の騒ぎが馬鹿馬鹿しいと私が思う理由がここにある。 外交機密費問題に戻って論じよう。 この問題は三つのまったく異なった問題が混在している。 一つは外務省が自ら予算化した機密費を官邸に上納したという問題である。 しかし、この問題は技術的な瑣末な話だ。官邸の官房機密費の増額が必要になった時、大蔵省に 対する予算要求の手前、それを外交機密活動の経費として要求させたほうが増額しやすかった。 そうしてまとめて外交機密費として要求させ、その一部を官邸にまわす。このことが、ある時から 官邸と外務省の合意で始まったというだけの話しである。 二つ目には、官邸に上納された官房機密費が、飲み食いや、現金や旅費負担などの形で、野党対策、 メディア対策、さらには選挙対策など、に使われていたのではないかという問題だ。 これが明るみになると、この国の支配者たちが、グルで血税を食い物にしていたことがばれる。 不正に関与していた者があまりにも多いから、それを罰すれば国家体制が崩壊する。 だから平野官房長官もこれ以上調査できないのだ。 しかし、これはもう国民もうすうす気づいている。世の中はそんなものかとあきらめている。 だから平野官房長官の調査幕引き発言についてもメディアは大きく書かない。国民もさほどの反応を 示さない。 ところが三番目に、国民がまったく知らされていない問題があるとすればどうか。それが外務官僚に よる官房機密費の不正使用である。 この問題は、松尾克俊という一人の会計担当官の犯罪で終わってしまった形になっている。 しかし問題の闇は手つかずのままである。 国民が素朴に疑問を抱かなければならないのは、なぜ一人の会計担当官が数億円にも上ると いわれる巨額の官房機密費をかくも簡単に不正使用出来たのかということである。 それは、もちろん当時の外務省幹部の暗黙の了解がある。 しかし、もうひとつの理由は官邸における会計処理のずさんさがあったのだ。そこを外務省がつけこんだ のだ。 この話を私が知ったのは、07年2月に発刊された「日本の裏金・上下」(第三書店)の著者である 古川利明氏の取材に応じた時である。 なるほど、と合点がいった。そのメカニズムはこうである。 外務省の予算にはいわゆる外交機密費がある。しかしこの使途については曲がりなりにも基準があって、 その不正使用については外務省内の厳しい目も働く。 ところがいったん官邸に上納された官房機密費になってしまうと、政治家がばら撒くカネのほかは、官邸の 会計担当まかせである。 それを巧みに利用して、目の届かないところで外務省が自由に使える予算にしたという。 それを古川氏はその著書で、「官房機密費を通したマネーロンダリング」と言い当てている。 2月9日の朝日新聞は「外交機密費」晴れぬ闇、という見出しで機密費上納問題を書いていた。 その中で田中真紀子元外相の次のような言葉が紹介されていた。 ・・・手をつけようとしたが外務官僚は「政治家は知る必要はない」という対応でとりつく島もなかった。 小泉首相も福田官房長も一切協力しなかった・・・ その事は、民主党政権の平野官房長官、岡田外相に見事に引き継がれたわけだ。 自民党はもちろん追求などする気はない。 権力者が手を握ると国民はどうしようもなくなるということだ。 調査幕引きの本当の問題はここにある。 _________ お知らせ 以下の通り案内します。 2月26日(金) 午後5時30分開場 パネルディスカッション 水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授) 天木直人 平岡秀夫(衆議院議員・民主党) 場所 弁護士会館2階 講堂クレオ 東京メトロ 霞ヶ関駅 出口B1-b 問い合わせ 第二東京弁護士会 人事課 03-3581-2257 天木直人のメールマガジン 2010年2月10日発行 第41号

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