□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年1月29日発行 第29号 ■ ────────────────────────────── 日米同盟と憲法9条を共存させろと主張する朝日新聞 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 気が重くなるので書くことをためらっていたが、やはり記録にとどめておかなければ ならないと思って書くことにした。 改定日米安保条約が署名された1月19日の朝日新聞の社説は、安保改定50周年を 記念した社説を掲げていた。 それは一言で言えば日米同盟と憲法9条が共存しているからこそ今日の日本があり、 それはまた取りも直さず日本がアジア近隣諸国にも認められるゆえんでもある、という 主張である。 目もくらむような日米同盟擁護論である。 米国との軍事協力から離れなければ世界のおける日本の存在感はなくなる、日本の将来は 危うい、とする私の前に立ちはだかる対極の考えである。 しかも、「米国依存から脱却して自主防衛を強化しろ」という単純な憲法改正論でない ところが、より悪質で、手ごわい。 その社説はまずこう主張する。 安保改定時の60年の世論調査では、安保改定で日本が戦争に巻き込まれるおそれが強く なったとの回答が38%もあった。日本の安全を守る方法として中立国になる事をあげた人 も35%いた。 ところがそれから50年。今や7割以上が日米安保を今後も維持する事に賛成している (因みに毎日新聞の昨年12月の世論調査でも日米同盟について『強めるべきだ』と『現状の ままでよい』を合わせると8割以上の国民が肯定的にとらえているというー1月21日毎日 論説ノート森嶋幹夫)。 さらに冷戦終結後は、再定義された日米同盟の役割は、アジア太平洋地域の安全装置として すっかり定着した。北朝鮮の脅威や台頭する中国の存在を前に、日米安保体制の与える安心感は 幅広く国民に共有された。と。 言い換えれば日米安保体制の骨格は、9条によって日本の防衛力が抑制的なものにとどまり、 海外での武力行使をしなくてすみ、他方で在日米軍の抑止力が日本の防衛に役立っている。 いい事尽くめだ。これこそが日米安保の変わらぬ骨子であり、国民の支持の背景だと。 最後にダメ押しをする。アジアの近隣諸国にも、「9条つきの日米同盟」であったゆえに安心され、 地域の安定装置として受け入れられたのだ、『9条も安保も』という基本的な枠組みは、国際的にも 有用であり続けるだろう、と。 見事な日米同盟擁護論だ。 これこそが親米保守の政治家、官僚、有識者が口をそろえて合唱してきたことであり、日本の反戦、 リベラル紙の雄であった朝日新聞が、今や完全にそれに唱和して世論に影響を与えようとしている ということだ。 今後鳩山政権の下で加速していくに違いない「対等な日米同盟の深化」に際しても、このような議論が 繰り返し、繰り返し語られるであろう。 しかしこれは詭弁だ。 それが言い過ぎならば、大きな視点を意図的に見落としている、世論を誤誘導する危険な論説だ。 目を開いて凝視しなければならない。 今の米国は終わりなきテロとの戦いを最優先し、戦争の真っ只中にある国である。 その米国が、日米同盟の名の下に日本に求めているのは、決して日本の防衛ではない。 米国のテロとの戦いへの全面的な協力である。 そのために在日米軍を再編し、日本の自衛隊までも再編・統合しようとしているのである。 しかし、テロとの戦いとは、イスラエルに偏した米国のパレスチナ政策に反発するアラブ、 イスラムの武装抵抗組織との戦いである。 日本には関係のない不正義の戦争である。 しかもこの戦いは、米国がみずから認めているごとく、終わりのない、残酷な、しかし 「正義の戦い」だ。だから国際法違反も許される。先制攻撃も許される。 そんな傲慢で一方的な戦争に加担することが、どうして憲法9条の精神と共存できるというのか。 なぜこの事を朝日新聞の社説は一言も明らかにしないのか。 残念ながら、今やこの朝日新聞の社説の考えに反論する政党や政治家はなくなりつつある。その結果 世論はどんどんと日米同盟を受け入れる方向に傾いていく。 それに待ったをかけたい。 この朝日の社説を読んで、私は俄然「さらば日米同盟」(仮題)という書を書いて世に問うてみたい という反骨心を抱いた。 無事完成できるかわからないが、私の最後の著作として原稿を書き始める事にした。 その原稿は、通常のメルマガ配信と平行して、書き上げたものから順次読者に送付させていただく 事をお約束する。 そして読者からの助言や叱咤を取り入れて、世の批判に耐えうる立派な日米同盟反対論を歴史に 残して行きたい。英訳して米国、いや世界の国民に投げかけたい。 それが私の初夢となった。 朝日新聞の社説に感謝しなければならない。 _________ お知らせ 以下の通り案内します。 2月6日(土) 午後6時開場 講演 鳩山外交に私が望むもの(仮題) 場所 蕨市民会館 048-445-7660 問い合わせ 田中和子 048-444-3210 2月26日(金) 午後5時30分開場 パネルディスカッション 水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授) 天木直人 平岡秀夫(衆議院議員・民主党) 場所 弁護士会館2階 講堂クレオ 東京メトロ 霞ヶ関駅 出口B1-b 問い合わせ 第二東京弁護士会 人事課 03-3581-2257 天木直人のメールマガジン 2010年1月29日発行 第29号

新しいコメントを追加