□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年1月11日発行 第11号 ■ ────────────────────────────── 鳩山民主党政権の人事に抱く素朴な疑問 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 鳩山首相の指導力の欠如がメディアで取り上げられない日はない。 鳩山政権の二重権力構造がメディアで批判されない日はない。 例えば1月11日の日経新聞は「司令塔なお見えず」という見出しで、普天間問題と 経済政策に関する閣僚の連携のなさを次のように書いていた。 平野官房長官が1月4日に「首相は黙っていてください。この問題(普天間移設問題)は私に 任せてほしい」と言い、これに応えて鳩山首相は8日「官房長官は大いに張り切っている」と 話したが、これらの言動とは裏腹に、「外交・安保問題に素人」の官房長官を相手にせず、 与党や閣僚が思いのままに振舞う様子は相変わらない、という。 国家戦略相と行政刷新相の二つを手にした仙谷大臣が、消費税引き上げについて 「自由闊達に議論しなければならない」と張り切ったかと思えば、副総理として内閣全体の 調整役を自認する菅直人財務相は「まずは歳出見直し」とすかさず牽制した、という。 その一方で1月11日の東京新聞では政治部の竹内洋一記者が「異常な権力の二重構造」を なくせと次のように書いている。 小沢幹事長はもはや誰もが認めざるを得ない最高実力者であるのだから、国会で責任を追及 されたら国民の前でその責任に応える立場にある首相に名乗り出るべきだ、党内でそれに反対 できる者はないだろう、と。 これらの民主党批判記事を、単なるメディアの民主党つぶしと一蹴するのは間違いだ。 それらは一般国民の多くが思っている事である。 多くの一般国民と同じように、私は民主党政権に対し、これを応援し、建設的な助言、批判を 行う一人である。 その私が、今の民主党政権の誰に助言し、誰に不満、注文をつければいいのか、当惑する毎日が続く。 今の民主党政権に対する批判は数々あるが、その中でも私は鳩山政権の人事政策に疑問を持つ。 鳩山政権の人事といえば官僚人事がある。その人事の不徹底・矛盾についてはこれまでにも 何度か書いてきた。 しかしおかしいのは官僚人事だけではない。 あまり報道されないので目立たないが、数から言えば民間人起用に関する人事のほうが疑問が多い。 たとえばあの事業仕分け人の中に小泉改革で重用された人物が多数入っていたという指摘があった。 たとえば鳩山首相の外交ブレーンであった寺島実郎氏の意見が米国を怒らせたから、今度は自民党政権下 で重用された岡本行夫外務省OBの意見に耳を傾けることにした、などと報じられた。 そのような民間人の人事の中で、私がもっとも違和感を抱くのは北岡伸一東大教授の重用である。 そしてその私の違和感は1月10日の読売新聞「地球を読む」で掲載された北岡氏の論説を読んだ時に 頂点に達した。 「鳩山内閣は再出発を」という見出しで書かれたその論説は、政権4ヶ月の鳩山外交の全否定である。 断っておくが、そこに書かれている批判的意見の中には賛同できるものもある。 しかし、彼は核密約調査の検証に関する有識者委員会の座長という今の鳩山外交のもっとも重要な ポストにいる人物である。 しかも北岡氏は自民党政権下において外交・安保問題に関する数々の懇談会、委員会の座長、メンバー を歴任した御用学者の雄である。 その彼が、鳩山外交を全否定しているのだ。 しかもその批判的意見を、内部の意見にとどめることなく、大手新聞の一面で評論しているのだ。 そのような人物を、なお重用し続け、鳩山外交の命運を賭ける核密約検証の責任者に据え置く。 この矛盾、この生ぬるさについて、その批判を誰にぶつければいいのか。 岡田外相なのか、鳩山首相なのか、それとも小沢幹事長なのか。 鳩山政権の人事政策については誰が最終的な責任を負っているのか、それがわからない。 人事権についての責任が曖昧なままに放置されているいかなる組織も、決して長続きしない。 ______________________ 天木直人のメールマガジン 2010年1月11日発行 第11号

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