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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「天木直人メルマガ」2010年1月10日発行 第10号
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□■□■  【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■    天木直人のメールマガジン 2010年1月10日発行 第10号 ■     ──────────────────────────────         「日米同盟は国際公共財」という詭弁       ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    まったくおかしな話なのだが、普天間基地移設を求めた事によって逆に日本が 追い込まれたような状況になっている。  辺野古以外は認められない、という強硬論をことさらに強調している米国が、一転して 変更を認め、普天間移設問題で譲歩した形をとる。そのかわりに大きな代償を日本に 求めてくる、そうなるのではないか。  その大きな代償とは何か。日米安保50周年記念日にあたる今年に、日米同盟再定義を 行うことである。それは米国の日本占領固定化にほかならない。  そんな最悪のシナリオが日米官僚の間で描かれているのではないか。 最近の報道をみて つくづくそう思う。  防衛、外務官僚にすっかり取り込まれた北沢、平野、岡田の三ダメ大臣の言動を見てそう思う。  鳩山首相の最近の腰砕け振りを見てそう思う。  「日米同盟は国際公共財である」という言葉が最近メディアで頻繁に使われ始めた事を 読者はお気づきだろうか。  たとえば1月9日の毎日新聞の社説は「2010年再建の年 日米安保」と題して、ともに 政権交代を果たした日米両国が、共通の目標を確認し、そのツールとして「世界の平和・安定の ための公共財」に再び定義し直すことは有意義であり、日米同盟関係の深化の基本的方向だろう、 と説いている。  1月4日の読売新聞社説も、「・・・在日米軍は、日本防衛だけではなく、アジア全体の平和と 安全に『国際公共財』として貢献している・・」と書いていた。  1月8日の毎日新聞では慶応大学准教授(国際政治史)の細谷雄一氏が、「・・・(日米同盟は) 日本の失われた地位と威信を補うための私的所有物ではなく、あくまでも東アジアの安定性を確保 するための公共財である・・・」などと言う。  1月7日の朝日新聞では、舟橋洋一主筆が「日本@世界」において、「・・・アジア太平洋の諸国が 日米同盟を地域の公共財の一つと位置づけている事を忘れてはならない・・」と書いていた。  これ以外にも枚挙にいとまがない。  見ているがいい。今後もこの言葉がこれからもっと頻繁にメディアをにぎわす事になるだろう。  あたかもその言葉を使わないと国際政治を語る資格がないと言わんばかりに。  かくして何も知らない一般国民は、「そうか、日米同盟は日本だけのものではないのか」と 思い込んでしまう。  「日本の都合だけで日米同盟を破棄する事は身勝手な事なのだ」などと思ってしまう。  この言葉こそが、日米同盟再定義のキー・ワードなのだ。日米同盟永久化の決めゼリフとなる。  しかし、これほどの詭弁はない。  それがアジアや太平洋地域の公共財であるというのなら、何よりもアジア、太平洋諸国の政府や 国民がそう思っていなければならない。しかしそんな事実はどこを探してもない。  日米同盟が公共財だ、などという言葉が、たとえば外交白書であるとか、総理の施政方針演説である とか、あるいは日米安保条約や関連文書などで使われた事があるのか。寡聞にして私は知らない。  もし仮にどこかで使われているとしたら大問題だ。なぜならばそれは嘘であるからだ。  一体いつからこのような言葉が語られるようになったのか。この言葉を、いつ、誰が、どこで はじめて使い出したか。私は知らない。  しかし、たとえば、財界人や外務官僚OB,御用学者などで作られている財団法人「日本国際フォーラム」 という組織は、政府の助成金をもらって2001年12月から「日米安保再定義」の理由付けを模索する 日米合同の研究を行っている。  その中で「公共財としての日米同盟」が謳いあげられている。  はっきり言える事は、冷戦後もなお日米同盟は必要であるという事を言い続けるために考え出された方便 であるということだ。  とくに、2001年の9・11以降に米国が最優先した「テロとの戦い」に向けて、どうしても日米同盟は 再定義されなくてはならなかったのだ。  しかし「日米同盟が国際公共財」などということは真っ赤な嘘っぱちである。  その事は、先制攻撃を正当化するいまの米国にとって、安全保障政策は、米国の国益追求のためのみにある という事実ひとつをもってして明らかだろう。  日米同盟は公共財であるどころか米国の私財なのだ。  それを国際公共財と言いだすのは、そうでも言わなければ日本国民を騙せない日本の為政者たちのずるさ である。  読者のおかれては、今後「日米同盟は公共財である」という言葉に出くわしたら注意することをお勧めする。  誰がそう言っているのか、どういう状況でそう言っているのか。  それをみればおのずと私の言っていることがわかる。  そして、このような馬鹿げた言葉遊びを正面から批判するまともな政治家や学者、識者、報道関係者が ただの一人もいないという事こそ大問題なのである。  日本に健全な護憲勢力がなくなりつつあるということだ。  日米同盟は間違いだと訴える私が孤立感を感じる理由がそこにある。                        ______________________                            天木直人のメールマガジン 2010年1月10日発行 第10号  

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