□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年1月5日発行 第5号 ■ ────────────────────────────── サウジアラビアと日本に共通するジレンマ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ サウジアラビアのサウド外相が1月2日の記者会見でイスラエルを「国際社会で甘やかされた 子供のようだ」と批判したという。これをロイター通信などが一斉に報じた。 言うまでもなく、国際法違反や戦争犯罪を繰り返しても処罰されないイスラエルと、それを 許す米国に対する批判である。 このような批判をサウジアラビアの王族はこれまで何度となく繰り返してきた。 しかしそれ以上の批判をサウジアラビアの王族はしない。出来ない。 米国もイスラエルもこのような批判を一蹴する。 サウジアラビアの王族は、本当は本気で怒りたいところだろう。国交断絶を叩き付けたいだろう。 しかしサウド家の王族支配を守り、その石油資源を守ってくれるのは米国だけである。 米国には逆らえない。 それどころか、湾岸戦争以降は巨大な米国軍事施設まで自国内につくらせて今日に至っている。 イスラム教の総本山メッカを抱くサウジアラビアは、その聖地を、イスラム教徒を差別し、見殺し にする米国の軍靴と銃砲で汚しているのである。 これほどの矛盾、葛藤はあるだろうか。 そのようなサウジアラビアを見て思い浮かべるのは日本の姿だ。 かつて日米貿易摩擦が激しかった頃、当時の北米局長が若い職員の前で吐き捨てるように言った 言葉を私は今も強烈な印象とともに思い出す。 「こんな不当な要求を次々と日本に押し付けてくる米国をもはや外務省の幹部は誰もまともな国 とは思っていない」と。 米国を担当する最高幹部の北米局長が若い職員の前でそう言ったのである。 しかも外務省幹部の 全員が米国に不快感を抱いているとまで言ったのだ。 それでも表向きには、米国は日本にとって価値観を共有する最も重要な国であると皆が言い、日米 同盟の重要性は不変だ、などと声をそろえる。 その姿を若い職員は見て育っていく。 これほどの矛盾があるだろうか。偽りの心でまともな対米外交ができるはずはない。 しかし、これはなにも外務官僚に限らない。 久間防衛相は07年に、普天間に関する日米合意の修正に関して「(米国は)偉そうに言ってくれるな」 と発言した(1月5日毎日新聞 記者の目)。 最近では鳩山首相が、「いままで米国に依存し過ぎていた」と外国要人に漏らした。 常日頃思っている本音が口に出るのだ。 ところが、それに対して米国が不快感を漏らしたとたん、日米関係が危うくなるという殺し文句の前に、 頭を下げ、軌道修正する。 サウジの王族たちが、その王制維持のために、魂を売ってまで米国に従うのは、まだ分かりやすい。 しかし日本の政治家や官僚たちは、何を根拠に米国をおそれ、国民を裏切るのか。 何におびえて本音を隠し、米国を賞賛し、日米同盟重視を繰り返すのか。 根拠がないだけにその矛盾はサウジアラビアよりも深刻である。 根拠があればもっと深刻である。 ______________________ 天木直人のメールマガジン 2010年1月5日発行 第5号

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