… … …(記事全文4,439文字)こんにちは、吉野愛です。
10月に入りました。こちらは今月末にハロウィーンがあり、来月に感謝祭、そして12月にクリスマスといった行事が続き、あっという間に年末を迎えます。
アメリカ政府は10月1日が会計年度始めのため、9月30日までに議会で歳出法案(予算)を成立する必要があります。今回も予算案が否決され、政府機関の一部が閉鎖されると報道されましたが、最終的に45日間の予算執行を可能にする「つなぎ予算」の案が可決されました。しかしこの「つなぎ予算」に対ウクライナ支援が含まれていませんでした。そして10月3日にケビン・マッカーシー下院議長(共和党)が解任されました。
共和党の保守強硬派8名が民主党と連携して、マッカーシー議長の解任動議を可決させました。現職の議長を引きずり下ろすというのは前代未聞だったと思います。議長一人を指して、公開処刑のように政策の責任を背負わせるのは、単なる陽動作戦ではないかと思いますが、新議長の選出などが難航すれば、対ウクライナ支援の審議が当面滞る可能性も出てくることでしょう。
メルマガ読者であれば、この「45日間」という数字に意味があること、そしてたとえ政府機関が封鎖されても、下院議長の座が空席でも問題ないことはご存じかと思います。この件に関してはナンシー・ペロシ前下院議長も過去にインタビューで述べています。しかし一般市民を煽る心理集団もいます。彼らは「恐怖」と「希望」という人間の心理を利用して世論を動かします。
数字や日数は、タイムラインに沿って運営する側には大切な決まり事であり、現在ではコンピューターで管理されているため絶対に間違えません。また連邦政府と州政府では応当日の日数も違ったりします。対等に渡り歩きたいのであれば、まずはタイムラインをマスターしたいところですが、非常に複雑で理解が難しいです。だからこそコンピューターで管理されているのでしょう。機関に所属する人間もタイムラインを実際に理解している人は少ないと思いますし、運営側からしたら理解されたくもないでしょう。
目次
● 消滅する国家、ナゴルノ・カラバフ
● 国旗と郵便局と通貨
● 復活するオスマン帝国
未来への羅針盤
吉野愛(文筆家、国際政治研究者)