… … …(記事全文3,795文字)ガザでの戦争が起きてすぐに、アメリカ政治と外交を専門とする同僚の三牧先生との対談で本をつくろうと話をし、集英社の新書編集部に相談した。それから五か月ほどで、本書を刊行することができた。
戦争がいつまでつづくのか分からない状態で本にするのは難しい。日々、ガザ市民の犠牲は増えていくから、死者の数をはじめ被害状況は、ぎりぎりで3月時点のものにとどめざるを得なかった。
■焦点は欧米諸国の欺瞞
本書は、パレスチナ問題そのものを扱うわけではない。
昨年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃と、それに対するイスラエルの恐るべき反撃がジェノサイドをもたらした。
二人の専門からこの人道の危機を見たとき、別の面が浮かび上がった。それが、ガザで起きていることに対する外の世界の対応である。
三牧先生はアメリカ、私はヨーロッパとトルコから、ガザ戦争をめぐる諸国の対応を検討した。
新刊書なのでここで内容を紹介することはできないが、アメリカとヨーロッパのほとんどの国は、自由、民主主義、人権について、あまりにひどいダブルスタンダードを使ってきた。そのことを論じたのが本書である。
内藤正典のTwitterでは書けなかったこと
内藤正典(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授)