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吉富有治の魔境探訪 - 政治という摩訶不思議を大阪から眺める

吉富有治(ジャーナリスト)

吉富有治

メルマガ臨時号(無料配信)「日本維新の新代表が決定 ルール違反を訴える足立の声はどこまで党執行部に届くのか」
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 ************ 吉富 代表選の冒頭のあいさつで足立さんは透明で公平・公正に欠ける今回の代表選だと指摘されたが、これは個人の問題なのか、それとも組織の問題か。 足立 組織の問題だと思う。 吉富 組織、構造的な問題だとすると抜本的な改革を行わないと完全に治らないのではないか。 足立 私はそう思う。 吉富 その点はこれからも質していく? 足立 もちろん。たとえば自民党や政府でも様々な問題が起こる。それは個別の問題ではなくて、構造的な問題だと私たちは訴えてきた。街頭演説でも申し上げたように、安倍政権のときに森友問題などが起こった。公文書改ざんがあった。これは構造的な問題だと思っている。要は自民党政府、あるいは自民党国対、官邸、彼らが(改ざんを)指示をしたのではなく、ある意味で政治的な構造の中で起こった事件だと訴えてきた。今回の広島、宮城、大阪で起こった(代表選の)不正については、まさに今の党のあり方の中で起こった問題だと指摘をしてきたし、今もそう思っている。 足立 (今回の不正の糾弾を)今後、不服申立てという形ではやらない。これからも党の改革は訴えていきたいと思う。おそらく馬場代表もそういう認識をしていると思う。だって(不正が発覚した地域が)1か所ではないのだから。3か所で起こった。もしかすると、もっとあるのかもしれない。 吉富 構造的な問題だとすると根本的な原因はなにか。 足立 「国会議員が上、地方議員が下」というような自民党的、永田町的な側面が10年経って維新の中にも少しずつ生まれてきていると思う。だからこそ、東さんの件(東徹参院議員が代表選の立候補を辞退したこと)もあった。 足立 今の執行部の体制は100点ではないと思う。私がこの結果(落選)に向き合ってしっかりと一兵卒として頑張っていくと申し上げているのは、今の体制が100点だと認めているわけではない。私が作ろうと思ったものよりも、馬場さんの体制を有権者が選ばれたということ。ただ、やっぱり60点なのか70点なのかを馬場代表が思っているかは知らないが、日本維新の会が100点でないのであれば、100点にするための仕事を私は行っていきたい。 吉富 最後に1つ。その自民党的、永田町的体質が徐々に染み込んでいったのが現在の日本維新だとすると、馬場新体制で治ると思うのか。 足立 (不正問題等を)国民や党員の皆様に訴え、そして馬場さんにも訴えてきたわけだから、今回私が選挙戦を戦ったことによって日本維新の会が100点を取れるような大きなクサビを打ち込むことができたと思っている。 足立 皆さんに申し上げたいのは、自民党のように日本維新には派閥はない。人事もカネの動きも執行部が一括して行っている。自民党は違う。派閥ごとに動く。カネも人事も。だから自民党の中で総裁選に出ると、そこには派閥というガードがある。派閥が矛にもなれば盾にもなる。自民党議員は派閥に守られている。日本維新の会は1つの派閥だから、私や梅村さんがチャレンジできた。自民党なら無理。派閥の領袖に逆らって出る覚悟がいる。私のようなチャレンジする者は自民党議員にはいないと思う。今回のチャレンジは稀有なことだと思うし、普通に考えればできない。だから松井前代表が「足立は何を考えているかはわからん」と言ったのは、その通りだと思う。普通ならやらないんだから。でも日本維新の会がこれからも発展していくためには、選挙なしではあかん。 足立 梅村さんには(出馬したことに)敬意を表するが、総理大臣になる覚悟はないとおっしゃっていたので、その意味では今回の戦いは私と馬場さんの一騎打ちだったと思う。その中で(自分が)大敗したことは認めるが、私が今回チャレンジしたことは日本維新の会がこれから大きくなっていく上で絶対に不可欠だったと思うし、私も後悔はしていない。満足感がある。 足立 自民党議員の中で、派閥の領袖が「後継者は○○で」と指名する中で、それに逆らって総裁選に出馬する人がいますか? 日本維新の会の党組織を挙げて、執行部が全員、馬場さん側。人事とおカネを全部握っているのだから。その中で私は39人の推薦人を得られた。本当に敬意を表したいと思うし、代表選を戦い抜けたことは誇りに思う。この戦いをステップとして日本維新の会が日本維新の会であり続けるために言うべきことは言っていく。懲りずにやり続けていきたい。全国遊説、全国行脚を明日からはじめたい。 ************  国会での暴言や失言が相次いで何かと世間を騒がせる足立だが、こと代表選の不正やルール逸脱への指摘に関しては正論だろう。足立の一連の指摘に対して党内や一部支持者からは「融和を乱す」という声があるようだが、表面的に議員同士が仲良しこよしに見えても中身が不正まみれでは本末転倒である。足立の指摘は決して間違ってはいない。  足立は口には出さなかったが、囲み会見では馬場体制への不満が読み取れた。足立が言う「組織の問題」とは、おそらく党執行部が抱える問題だと思われる。ならば日本維新の馬場新体制は今後、自民党的で永田町的な体質から脱却できるのか。馬場は野党第一党を目指すと宣言している。もし体質改善ができなければ、それは第2自民党の道を歩むものでしかない。(文中・敬称略) //////////////////////////////////////////////////////////////// 本ウェブマガジンに対するご意見、ご感想は、このメールアドレス宛に返信をお願いいたします。 //////////////////////////////////////////////////////////////// 配信記事は、マイページから閲覧、再送することができます。ご活用ください。 マイページ:https://foomii.com/mypage/ //////////////////////////////////////////////////////////////// ■ ウェブマガジンの購読や課金に関するお問い合わせはこちら   info@foomii.com ■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/ ////////////////////////////////////////////////////////////////

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