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マスコミに騙されないための国際政治入門

白川司(評論家・翻訳家)

白川司

世界最大の児童ポルノサイトは韓国発だった!
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ウェブで読む:https://foomii.com/00184/2019111919000060887 //////////////////////////////////////////////////////////////// マスコミに騙されないための国際政治入門 https://foomii.com/00184 //////////////////////////////////////////////////////////////// 先月、世界最大の児童ポルノサイトの運営者がアメリカ当局によって摘発されました。ウエルカム・トゥ・ビデオ(Welcome to Video)というサイトで、運営者はジョン・ウー・ソン(Jong Woo Son)という23歳の韓国人男性です。 アメリカ当局は2017年に証拠をつかみ2018年2月に韓国に捜査を要請、韓国当局が翌月にサイト運営を確認し、9月に逮捕され、アメリカでの起訴が今年の10月だったそうです。韓国では18か月の禁固刑を受けています。 ウエルカム・トゥ・ビデオは「ダークネット」(ダークウェブとも呼ばれる)という、通常の検索では見つからないサイバー空間で運営されていました。 ダークネットは特定のブラウザでしかアクセスできず、特に「Tor」というブラウザを使ったネットワークが広く使われています。匿名性が高いブラウザです。 ダークネットでは違法ドラッグや拳銃や流出クレジットカード番号などの闇市場が数多くあります。ただ、サイトの匿名性があまりに高く、誰が運営しているのかを追跡するのがほぼ不可能だと言われています。 問題となったウエルカム・トゥ・ビデオは、児童ポルノ動画100万点以上を保有し、ビットコインを媒介して配信サービスをおこなっていました。 実はこれの先駆けとなるサイトがありました。それが2013年に運営者が逮捕されたシルク・ロード(Silk Road)です。 シルク・ロードは「闇のイーベイ」とも呼ばれ、ドラッグ、売春、闇輸入など何でもありのサイトでした。児童ポルノ動画はもちろん、殺人依頼までおこなわれていたそうです。 シルク・ロードが閉鎖されたあとも、ウォールストリート・マーケット(Wall Street Market)やヴェルハラ(Valhalla)など類似サイトが摘発されましたが、こういったサイトが「悪いことは何でもあり」だったのに対して、問題の「ウエルカム・トゥ・ビデオ」は児童ポルノに特化していたことが特徴です。 ウエルカム・トゥ・ビデオでは、プリティーン(11-12歳)のセックス動画のほか、小児愛者動画まであったそうです。私も信じがたいのですが、報道を信じれば、2歳や4歳の子供のセックス動画のほか、中には6か月の赤ちゃんの性的動画まであったそうです。 サイト自体は2018年3月に捜査員によって閉鎖させられたのですが、匿名性が高いうえに国境をまたいだ犯罪なので、アメリカ当局の起訴までは時間がかかっています。 ブルームバーグによると、サイト利用者も、アメリカ、イギリス、ドイツ、ブラジル、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など11カ国で337人が逮捕されています。 では、どうやって犯人や利用者を見つけたのでしょうか。 ワシントンポストによれば、犯人発覚のきっかけは、2017年に捜査員がサイトをクリックしたら、たまたま管理者側にユーザーエラーが出てソースコードが露出し、IPがわかったことだったそうです。 そこから時間をかけて追跡して、そのIPが運営者=容疑者のものであることがわかったのでしょう。 利用者逮捕には、アメリカのIRS(歳入庁)という日本の国税にあたる組織が当たっています。 IRSはドル資金のほか世界中の資金の流れを直接追うためのリソースを備えています。この事件ではIRSの犯罪捜査担当部署がビットコイン取引から利用者を割り出しています。 ここから一部で信じられている「ビットコインは匿名で利用できる」ということがデタラメであることがわかります。 ビットコイン追跡に貢献したのはチェイナリシス(Chainalysis)というスタートアップ企業です。IRSがチェイナリシスにビットコインのトランズアクションの分析を依頼、チェイナリシスが開発したソフトでサイトの運営者と利用者をあぶり出すのに成功しました。 デジタル通貨を使った犯罪が急増しているので、チェイナリシスの活躍の場はますます拡がるでしょう。 ただし、今回の逮捕劇は、上で述べたようにたまたま幸運なことがあり、またビットコインが広く使われことで発覚できたという面があります。今後、このままダークネットの存在を放置して良いかという議論が出てくるのは必至です。おそらく規制に向かうのではないかと思います。 ところで、なぜ今回これを取り上げたかと言えば、これほど病的な児童虐待があるのに、児童ポルノ問題になるといつも非難されるのが日本だからです。 アキバの「なんちゃって女子高生」ビジネスなどとは比べものにならないことが、実際に欧米をはじめ世界中でおこなわれています。国連などの国際組織がとりたてて日本の「ロリコンビジネス問題」をことさらに取り上げて批判するのですが、優先順位として相当におかしな話です。 おそらく、日本は他のもっと深刻な問題を隠蔽するためのスケープゴートに使われているのだと思います。こんなことをいつまでも許していいわけがありません。 むしろ、日本も「本当の児童虐待の摘発」に積極的に乗り出すべきです。でないと、いつまでたってもスケープゴートにされ、侮辱され続けなければなりません。 そのためにも、日本人はいま世界で何が起きているかを知り、不当な批判にはきちんと反論することが求められています。 日本人にとって英語教育が必要なのは、自分の名誉を守り、国益を守るためです。「英語はコミュニケーションの道具」などという戯れ言に騙されず、能動的に情報収集できる英語力、そのためにもまず高度な読解力を身につけることが重要です。 これからは、国際的にも活躍したい日本人も、いや日本にいて、日本らしさを守りたい日本人こそ、高度な読解力をつける英語教育が重要であることをぜひ多くの方に認識してもらいたいと思っています。 【参考】 ワシントン・ポスト https://www.washingtonpost.com/local/legal-issues/us-south-korea-dismantle-secret-online-network-that-shared-thousands-of-videos-of-child-sexual-abuse/2019/10/16/cdae13c2-eb63-11e9-9c6d-436a0df4f31d_story.html ブルームバーグ https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-16/PZH6HV6JIJUR01 //////////////////////////////////////////////////////////////// 本ウェブマガジンに対するご意見、ご感想は、このメールアドレス宛に返信をお願いいたします。 //////////////////////////////////////////////////////////////// ■ ウェブマガジンの購読や課金に関するお問い合わせはこちら   info@foomii.com ■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/ ////////////////////////////////////////////////////////////////

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