Foomii(フーミー)

世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

緊急事態宣言を出せない日本 – それはウィズコロナからの撤退と落伍

コロナの死者数が、8日は159人、9日は162人となった。今後もさらに増え続ける。7日、アメリカ国務省は日本への渡航警戒レベルを最も高い4(渡航中止勧告)に引き上げた。感染者が1日20万人出ているアメリカの視線からも、日本の感染爆発は世界でも最も危険な水準なのだ。アメリカから渡航中止対象国に指定される状況なのに、浜田敬子や玉川徹は水際対策を解除して外国からのビジネスマンや留学生を入れろと言い、経団連を援護射撃している。噴飯としか言いようがない。 アメリカが渡航中止勧告をするということは、普通は、その当該国はロックダウンしないといけないほど感染レベルが危険で深刻だという意味だ。昨年までの日本政府なら、当然、躊躇なく緊急事態宣言を発出していただろう。今、1日の感染者数は昨夏第5波の5倍に達している。自宅療養者数は全国で44万人に上っている。保健所が機能麻痺し、検査もできず、医療逼迫が起きているのに、なぜ緊急事態宣言が出ないのだろう。なぜ岸田文雄は人流抑制策を選択せず、菅義偉以上に「経済を回す」方針に偏執するのか。 その理由と真相をずっと考えてきて、前の記事では、3Aが手先の官僚(首相秘書官)を使い、ネオリベ知事と結託し、分科会を切り崩し、さらに松原耕二などマスコミに世論工作させて、岸田官邸を羽交い締めしているのではないかと推論を述べた。政局(権力闘争)の観点からの整理であり、3Aがコロナ対策のネオリベ化の元凶だという分析である。だが、どうやらその認識は近視眼的で掘り下げが浅かった。もっと大きな、やんごとなき権力が動いている。世界的な政治と連動した政府決定であり、要するにウィズコロナの大義への恭順なのだ。 ウィズコロナという語は、昨年前半までとは意味が変わっている。最早、感染症対策プロパーのフラットな意味ではなく、アメリカの世界戦略の金看板のキーワードになっていて、「自由民主主義」陣営の結集軸を表すシンボルになっている。「専制主義」「権威主義」「強権主義」の中国と戦う上での、自陣営を差別化し優越づけるイデオロギー的な標語になっている。中国のゼロコロナと米英欧日のウィズコロナの「競争」が仕掛けられていて、ウィズコロナが神聖化・絶対化される思想環境に固められている。
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