全国の市中で感染爆発が進む中、31日昼、岸田文雄が「現時点では国として検討していない」と発言した。政府は感染者数がピークアウトして減少するのを見込んでいる様子だ。小池百合子の方は政府に判断を預けていて、この意思決定に積極的に参加しようとしていない。都の発表する病床使用率が48%前後のところで止まっているのは、明らかに小池百合子が政府に忖度して匙加減しているからで、作為的に50%を突破しないよう寸止めしているからだろう。 政府が宣言を出さない方針だから、それに合わせて数字を加工・演出しているのだ。普通に考えて、都内の自宅待機者(療養+調整中)が毎日数千人ずつ急激な勢いで増えているのに、中等症(肺炎)の患者の数が一定数で固定して止まったままという事態はあり得ない。不自然だ。実態としては、中等症レベルなのに入院できず、自宅療養を強いられている患者が少なからずいるのだろう。いずれ、昨年8月のように自宅療養中死亡の事故が多発しておかしくないが、一方、病床の半分は空いているのであり、「上級」は即入院できる態勢となっている。 前の記事の補足をしたい。今回の棄民政策は誰が動かしたのかという問題である。ネオリベとの距離感を標榜する宏池会の岸田文雄が、そして世論の支持率に敏感で「聞く力」をモットーとする岸田文雄が、今回の棄民政策(検査しない、保健所はコンタクトしない、自己管理で治せ)を率先してキャリーしたとは考えにくい。ネオリベ勢力による感染症対策の奪権の政治であり、クーデターだろうと考察した。それを策謀し主導した政治分子として、(1)山際大志郎(=3A)、(2)ネオリベ諸知事、(3)ネオリベ厚労官僚、(3)ネオリベ専門家、の四要素を指摘して構図化した。 この図式を描きつつ、自分でも若干疑問に思ったのは、(3)の「ネオリベ厚労官僚」の部分である。正直、こんなのいたっけと首を捻った。なぜ、厚労官僚が今回の棄民政策に抵抗しなかったのか、棄民行政の主体になったのか、意外に思う気分を否めない。けれども、現実にあの通達は24日に厚労省の名前で発信されている。この謎をずっと考えていて、はたと思い出した事実があった。それは、1月10日に放送された報道1930の内容だ。田崎史郎と久江雅彦と佐藤千矢子が出演した回で、高支持率を上げている岸田政権の成功要因を政治記者が内側から解説した特集である。… … …(記事全文3,254文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)