中国のゼロコロナ政策へのバッシングが凄まじい。連日のように日本のマスコミ報道で批難の対象になっていて、中国のゼロコロナ政策の「失敗」が袋叩きされている。23日のサンデーモーニングでも、松本哲哉が「中国のゼロコロナ政策は必ず破綻する」と断言する場面があった。何となく、ヤラセというか仕込みの雰囲気が漂っていて、番組の事前に打ち合わせをして、関口宏がこういう質問をするからこう答えてくれと調整した台本の存在が見え隠れする。 いつも政治的中立に努めて慎重運転のコメントに徹し、無難に生放送をこなすキャラクターとしてテレビ局に重宝されている松本哲哉。その表情に、一瞬だが、このメッセージを発信する責任についての葛藤と動揺の気配が浮かび、それが視聴者に微妙に伝わり、真相を疑わせる映像になっていた。本人は気が進まないが、多額のギャラで世話になっているTBSが無理に要請してきたので、断れずに依頼に応じたのだろう。政治的にナイーブな松本哲哉としては、無理があり不自然な一言だった。 先週1月19日の報道1930でも、中国のゼロコロナ政策を叩く進行があった。少し驚いたのは、日本共産党の小池晃が出演して、ゼロコロナ政策は意味がないと意義を否定していた点である。発言を抜き出すと、「普通の民主主義国家でそこまでやるというのは困難だし、はっきり言ってゼロにすること自体に意味があるとは私は思えない」と言っている。テレビの前で困惑させられたのは、日本共産党がゼロコロナからウィズコロナに転換した旨を明らかにしたからだ。嘗て、1年半前、志位和夫は明確にこう言っていた。 政府は「ウィズコロナ」という言葉を安易に使うべきでない。多様なウイルスの全体と人類との共生を論じることはできても、「共生」できないウイルスもある。誰が「ウィズエボラ」とか「ウィズポリオ」とか「ウィズ天然痘」というだろうか。新型コロナウイルスは、封じ込めなければならないものです。 私は、コロナ対策の基本姿勢としては、この志位和夫の主張が正しいと思うし、日本共産党は現在もこの方針を堅持していると思っていた。… … …(記事全文3,886文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)