北京五輪ボイコットに反対する。外交レベルのボイコットにも反対だ。理由は、これが戦争に繋がる道だからである。今、マスコミと右翼が北京五輪ボイコットを扇動し、日本国内の世論固めに躍起になっている。その先頭に立ってTBS(サンデーモーニングと報道1930)が旗を振っている。松原耕二が中心的なアジテーターだ。マスコミの趨勢を見ると、12月の世論調査で「外交ボイコットに賛成か反対か」の数字を出し、政府方針に圧力をかけて引き摺って行く思惑だろう。 日本国内で北京五輪ボイコットに反対の声を上げている者がおらず、誰かが正論を言って歯止めをかけないといけない。右翼とマスコミはボイコット正当化の理屈として、新疆ウィグルと女子テニス選手の問題は人権問題であって政治問題ではないという口上を立てているが、これは詭弁であり、口実に過ぎない。08年の北京五輪のときも、開催を妨害する勢力がチベットの人権問題を大義名分にしたが、五輪が終わると一瞬で「フリーチベット」の連呼を止めた。チベット問題には全く関心を寄せなくなった。 深刻な人権問題というならアメリカにも同様の問題があり、昨年は黒人の人権問題が世界を揺るがす騒動に発展した。保留区のインディアンへの差別と抑圧は現在の問題だ。権力者のセクハラ問題なら、張高麗よりもトランプの方が悪質で頻回である。だが、それらを理由として、アメリカで開催される五輪をボイコットしようと言い出す者はいないだろう。明らかに、北京五輪ボイコットの動きはアメリカ主導で始動している政治工作であり、米中対立の中での対中戦略の一環として仕組まれているものだ。中国に対する封じ込めの一策である。 圧力と包囲と挑発の攻勢はこれ一つだけでなく、多重的にプログラムが準備されており、12月9日には「民主主義サミット」がオンラインで予定されている。台湾を含む110の国と地域が招待されていて、中国包囲網の巨大な国際政治イベントがローンチされる。来年は対面の会議にするそうだ。松原耕二や和久田麻由子の大はしゃぎを想像すると憂鬱になる。中国の反発も大きいだろう。年が明けると東京で第2回クアッドが開催される。日本が主催国だ。それと重ねて、台湾を取り込んだTPPに代わるアジア新経済圏構想も立ち上げる。… … …(記事全文3,184文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)