選挙が終わって3日経ち、2日には枝野幸男が辞任表明し、3日目には山口二郎が市民連合から離脱する旨をツイートした。敗者の戦後処理が続いている。負けるとこうなる。それはやむを得ない。政治の勝負の掟は非情だ。立憲民主党が比例の議席を公示前の62から39に減らした問題について、共産党と共闘して「左に寄りすぎた路線の過誤」が非難され、マスコミによって猛然と糾弾されている。この問題は次のように簡単に説明できるだろう。 結論を先に言えば、昨年の合同(合流新党)が無駄で無益な失策だったのであり、前原党たる国民民主の右派議員を大量に抱え込む愚を犯さなければ何も問題はなかったのだ。昨年までの立憲民主党は、枝野幸男が4年前に立ち上げた「枝野立て」党であり、左派を中心とする市民の後押しと判官贔屓の旋風で誕生した純然たる左派リベラル党だった。その党への比例票の結果が今回の39議席であり、4年前の37議席と同じで減っていない。左派リベラルの党の単独比例票は、現在はこの数が限界なのだ。何も問題はない。取りこぼしはない。 右派改革の党である希望の党は、4年前の比例の議席は32だった。ここに投じられた票が今回は維新に流れている。それだけのことで、きわめて単純明快な道理であり、分かりやすい民意の反映である。左派リベラルの政党なのに、昨年、不良債権の右派議員を大量に仕入れて数を膨らましていたため、左派リベラル有権者が投じた比例票では62の議席を賄えなかった。そういう顛末だ。枝野幸男の合流策の失敗である。合流は全く必要なかった。あんな策に出なければ、立憲は4年前と較べて小選挙区を17議席増やしており、全体でも大幅増で大躍進だった。 「野党共闘」は成功とマスコミも判定しただろう。不良債権を抱え込んで戦ったことが敗因だ。合流以前の立憲民主と国民民主と、左派リベラルと中道改革保守と二つに分かれて、それぞれ小選挙区を調整して棲み分けして戦えばよかった。もともと旧民主党・旧民進党には左派と右派の二つの勢力が存在し、党内で抗争するのが決まり事になっていて、選挙の度に激しく醜いヘゲモニー闘争と離合集散の騒動を繰り返していた。… … …(記事全文3,304文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)