21日のNNN・読売の情勢調査記事で、「自民単独過半数は微妙」という観測が出た。毎日の報道では、「無党派層、比例の投票先は立憲が最多」の情勢分析が示され、比例の投票先で立憲を選んだ無党派層が21%だったのに対して、自民を選んだ無党派層は15%とある。自民が苦戦している。一般に、無党派層の動向が選挙の勝敗のカギを握ると言われていて、投票10日前のこの数字の意味は小さくない。風は野党に吹いている。櫻井よしこなど安倍系右翼は半狂乱の焦燥ではないか。 自民党がもし過半数を割った場合、党内は混乱して敗北責任の押しつけ合いとなり、(1)安倍・麻生の主流タカ派と、(2)岸田文雄の弱小ハト派と、(3)河野太郎の「改革」派の、三派入り乱れての権力闘争となる。来年の参院選に向けて暗闘が熾烈になるだろう。岸田文雄は参院選に勝つために政策を野党寄りにシフトせざるを得ず、安倍・麻生の脅しによって公約から外した分配策を元に戻す選択に出るだろう。宏池会と公明党の左方向に寄せるはずだ。必然的に自民党内の軋轢と亀裂は大きくなる。路線対立が浮上する。 選挙戦が始まって、マスコミはずっと「財政規律」のキャンペーンをやっている。毎日毎晩ヒステリックに「バラマキ」批判をやり、政党の公約を叩く論陣を張って国民の洗脳に余念がない。前回の記事でもマスコミ批判を書いたが、不愉快で憤懣やるかたない。「財政規律」を言うのなら、国民や政党に向かってではなく、財務省に向かって言わなくてはいけない。当の財務省自身が、一体どれだけ国民の税金を無駄遣いし、国家予算をドブに捨てていることだろう。東京五輪もそうである。コロナ対策の給付金事業の電通とパソナの中抜きもそうである。 防衛省のFMS調達による武器購入もそうである。アベノマスクの260億円もそうである。税金を次から次にドブに捨てながら、一方で、売上1000万円以下の零細事業者やフリーランスに対して、消費税を納めろと圧力をかけ、インボイス登録を強制づけている。他方では、法人税ゼロ円のソフトバンクに対しては何のお咎めもない。朝日新聞を中心とするマスコミは、財務省の放漫財政や本末転倒に対しては何も言わない。庶民からの収奪を正当化するだけだ。 あらためて持論を言わせてもらうが、日本経済は規模が小さすぎるのである。現在の2倍の規模の1000兆円のGDPを持たなくてはいけない。マクロ経済政策を議論するときは、まずその論点と展望を基本に据えなくてはいけない。規模が小さすぎる。他の国は、どこも25年間で2倍から3倍の規模になっているのだ。アメリカと韓国は3倍に、英国は2.5倍に、ドイツとフランスは2倍になっている。そのサイズの国民経済を得て、必要な社会保障を賄っている。… … …(記事全文4,177文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)