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世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

内部留保の研究(2) - ケイマンマネー(租税回避剰余資本)について

前回の宿題のケイマンマネーについて。タックスヘイブンマネーとしてケイマン諸島に移動され、蓄積と増殖を続けている資本が、いわゆる内部留保とどのような関係にあるのか、二者が会計上重複のない別範疇のものなのかというのが疑問点だった。この問題について、やはり2年前の19年7月にブログ記事を書いている。ご参考いただきたい。ケイマンマネーの規模と推移について調べようとして情報検索すると、日本共産党の赤旗が作成した資料が出力されて目にする機会が多い。 だが、それも、ここ最近のデータがなく、5年ほど前の統計だけが引っ掛かって登場する。パナマ文書が公開され世界に衝撃を与えたのが2016年の出来事で、2015年時点で総額470兆円にも上る租税回避資本が22の国・地域に散在して半隠匿されていることが明らかにされた。この報道が世間を驚愕させたことは記憶に新しい。日本のケイマンマネーの残高は2016年末で80兆円である。数字は日銀が報告した「直接投資・証券投資等残高(資産)地域別統計」から共産党が作成し、グラフを赤旗の記事に載せたものだ。 https://pds.exblog.jp/pds/1/201907/05/19/c0315619_17555485.png 以後、データの続きがない。探索しても発見できない。共産党が、パナマ文書の事件を発端にデータを調査して暴露・糾弾したことは明らかだが、継続して統計を示してないのは何故なのだろう。不思議に感じる点である。他のマスコミは一切報道しない。内部留保については、季節の風物詩のように年に一度棒グラフを更新し、企業の過剰な溜め込みを批判するのだけれど、ケイマンマネーについては、共産党(赤旗)を含めて追及を止めて見逃している。ケイマンマネーというのは、租税回避可能なケイマン諸島のペーパーカンパニーに資金を移し、投資信託等の利益をプールする資本形態のことで、元々は日本で事業して稼いだ純利益が移転されている。 解説によれば、未配当であれば日本からの投資に日本で課税されない仕組みがあるため、企業や富裕層には二重の旨みとなり貪欲にケイマン投資に精を出すらしい。問題は二点で、16年に80兆円だった残高が5年後の現在どこまで膨らんでいるかであり、そして、日銀が捕捉する日本企業のケイマン投資残高が、財務省が管理集計する「法人企業統計」の「利益剰余金」のグロスにきちんと反映されているかである。
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