16日に政権を発足させた菅義偉が、2日後の18日に竹中平蔵と会食して話題になった。都内のホテルで朝食をとりながら1時間以上懇談、政策のアドバイスを受けている。さらに23日の報道1930に竹中平蔵が出演、その場で持論を披露し、月7万円のベーシックインカムを国民全員に支給する代わりに、生活保護と年金の制度を廃止すると言った。この放送を受けて、23日夜から24日にかけてツイッターで怒濤の批判が巻き起こり、関連するキーワードがトレンドに立って怒りが沸騰する状況が続いた。 25日(今日)も興奮の余波が続いていて、今週の最も大きな政治ニュースになった。放送を見ながら、突然この話題が飛び出したのには驚いたが、フリップが予め用意されており、また、松原耕二が「菅さんに何をお話されましたか」と質問した回答の延長で提起されたので、視聴者の衝撃は大きかった。明らかに、竹中平蔵はこの問題を番組出演の目玉にしたのであり、観測気球を上げることを目的にして登壇したのだ。 番組では、竹中平蔵が、菅義偉といかに古くからの政策の同志であったかが紹介され、小泉政権時からの最も親密な政治家で、互いに助け合う関係だった事実が説明された。視聴者には、菅義偉がどれほど窮極で猛毒の、確信犯で狂信的なネオリベ政治家であるかがよく分かった放送だったと言える。間違いなく、竹中平蔵は、月7万円のベーシックインカムの件を菅義偉に具申しているし、菅義偉から、その話をマスコミで始めてくれと指示を受けている。 TBSが竹中平蔵を出演させたのも、官邸・内閣府の(マスコミ操作担当の)差配だろう。偶然ではなく計画的にやっている。一部の報道によると、菅義偉は内閣にブレーンとして竹中平蔵を入れようと検討したが、閣僚は自民党議員にしてくれと二階俊博に断られたという。竹中平蔵が菅政権にどれほど強い影響力を持っているかがよく分かるし、菅義偉が竹中平蔵を頼りにして、政策を立案推進する要役として位置づけていることが窺える。今後も会食とテレビ出演を重ね、菅内閣のスポークスマンの役割を果たすに違いない。… … …(記事全文3,613文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)