政治番組に出演した長妻昭が、「総理は隙あらばいつでも解散しようとタイミングを狙っている」と発言していた。巷では解散総選挙は東京五輪が終わった秋以降という観測が支配的だが、実際にはこの長妻昭の見方が正しい。結論から言って、秋以降の年内解散などあり得ないと断言してよい。根拠を説明しよう。ポイントは、(1)党則改正の党大会と(2)米大統領選の2点である。 党則改正の問題については何度か述べてきたが、この点に着目した政局論や総選挙日程の予測分析が皆無なのが不思議でならない。四選を目論む安倍晋三にとって何より頭を悩ませている難題が、四選を可能にする党内手続きの処理、すなわち党則改正を首尾よく果たすことであり、この基本的事実を正しく了解する必要がある。この関門を突破しなければ、任期は21年9月で自動的に終了するのだ。党則の改定は、最高機関である党大会で行う。緊急の場合、両院議員総会を開いて党大会の議決に代えることができる。 党大会は毎年1回開かれると党則で決まっていて、昨年は2月10日に開催された。今年は3月8日と早くから決まっている。総裁任期を3選に延ばす決定をした2017年の党大会は、3月5日に行われている。総裁選の1年半前に早々と党則を改正し、布石を打って盤石に既成事実を固めていた。おそらく安倍晋三は、昨年秋か新年冒頭の解散総選挙を考えていて、そこで圧勝し、3月8日の党大会に臨む思惑だったのだろう。 一部週刊誌が報じているように、2月総選挙の芽も残っているが、現時点でそれはほぼ不可能な状況であり、このままだと安倍晋三は手ぶらで3月8日の党大会に臨む推移になる。3月8日の党大会では党則改定は議題に上がらない。1月末から2月の国会は、補正予算が審議される場となるが、実際には「桜を見る会」や「IR疑獄」の追及の舞台となり、予算委で安倍晋三が激しく攻め込まれる修羅場が予想される。週刊誌の爆弾報道もあるだろう。… … …(記事全文3,098文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)