□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年07月06日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。週明けの国際原油相場は、ギリシャ国民投票で緊縮財政策が否定されたことを受けて、急落地合を形成しました。商品市況は全体として今回のギリシャ危機に冷静な反応を示していますが、なぜ原油相場だけが急落したのか、その背景を読み解きます。ここ数ヶ月の原油価格の値動きを振り返ると、原油相場急落の意味がよく理解できそうです。 =================================== 3ヶ月ぶりの安値を更新した原油相場、ギリシャショックで売られた理由 =================================== <神の手を縛るOPECの増産政策> 国際原油相場が再び軟化の兆しを見せている。NYMEX原油先物相場は、5月から6月にかけての2ヶ月にわたって1バレル=60ドルの節目を挟んで膠着気味の相場展開になっていたが、7月6日のアジアタイムには一時54.44ドルまで値位置を切り下げ、4月10日以来の安値を更新している。NYMEX原油相場に先行して下落していたICEブレント原油先物相場も、7月6日の取引で60ドルの節目を割り込み、こちらも4月10日以来の安値を更新している。 昨年後半の原油相場急落を受けて、国際原油市場では「原油安と景気拡大を背景とした需要拡大」と「シェールオイルに代表される高コスト原油の生産調整」という需要と供給の双方から、需給緩和状態を是正するためのリバランスを進めてきた。例えば、今年1月時点で2015年の世界石油需要は前年比で日量90万バレルの伸びが想定されているに過ぎなかったが、直近の6月時点では140万バレルの伸びが想定できるようになっている。また、シェールオイル生産の拠点となる北米の2015年原油供給量は1月時点で前年比90万バレルの伸びが想定されていたが、6月時点では60万バレルの伸びまで下方修正されている。すなわち、「原油相場急落→需要拡大+供給減少」というフローをたどる形で、供給過剰状態を是正するためのリバランスが実施されている。これは価格が需給調整を促す、いわゆる「神の手」が教科書通りに機能していると言える。… … …(記事全文4,088文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)