□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年06月24日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。先週の金相場はFOMCを受けて急伸しましたが、その後はギリシャ債務問題の進展観測で売られ、結果的に6月上旬の価格水準に回帰しています。なおボックス気味の相場展開になっていますが、ギリシャ債務問題の金価格に対する影響、ギリシャの金準備を巡る考え方、今後の金相場展開などについて解説します。 =================================== ギリシャが金準備を売却できない理由 / ギリシャ債務問題後の金相場 =================================== <ギリシャ危機は数ヶ月先送りの方向へ> ギリシャ債務問題の進展期待が強まる中、ドル建て金相場に対して改めて下押し圧力が強くなっている。6月16~17日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)においてFOMCメンバーのフェデラルファンド(FF)金利予想が2016年と17年分を中心に引き下げられたことを受けて、翌18日の取引では米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは極めて緩やかなペースでしか進まないとの見方が、1オンス=1,205.70ドルまで金相場を押し上げていた。しかし、その後はギリシャ債務問題に進展が見られたことが金相場の上値を強力に圧迫し、足元ではFOMC前の1,170ドル台まで値位置を切り下げている。依然として4月から続く1,200ドルの節目を挟んでのボックス圏内の動きだが、ドル相場も二番底形成の動きを見せる中、金からドルに対する資金シフトの動きが再開され始めていることが窺える状況にある。 ギリシャ債務問題に関しては、少なくとも来月に向けての危機増幅の流れは回避される方向で展開が進んでいる。これまでギリシャと債権団は一切の譲歩を拒否してユーロ圏財務相会合や首脳会議で幾度となくこの問題を協議したものの、何も進展がみられない膠着状態が続いていた。しかし、ギリシャ支援プログラムの延長なくして6月末に予定されている国際通貨基金(IMF)向けての資金返済目処が立たない状況となる中、漸くギリシャサイドが歩み寄りの動きを見せていることが、「安全資産」に対する退避ニーズを後退させている。日経平均株価が年初来高値の急伸地合になっていることも象徴的だが、「万が一」の事態に備えてキャッシュや金などの安全資産にシフトしていた資金が、割安感の浮上しているリスク資産に回帰しつつある。… … …(記事全文4,478文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)