□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年06月01日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。6月は、金価格の短観からスタートします。米経済見通しが大きな修正を迫られる中、5月の金価格は急騰と急落という正反対のエネルギーに晒されましたが、それが6月以降の金価格動向にどのようにつながっていくのかを検証します。基本的にはドルとの逆相関で規定されている相場ですが、過去のドル高局面との比較なども交えながら、金価格の現状を再検証します。また、中国の金現物市場動向についても、ポイントを解説します。 =================================== 雇用統計に向けての金価格動向、過去のドル高の持続力を振り返ると =================================== <取りあえず反発の必要性は否定したが・・・> COMEX金先物相場は、5月18日の1オンス=1,232.00ドルをピークに、同28日の1,180.20ドルまで、僅か8営業日で50ドル幅の急落相場を形成した。もっとも、短期間に大きく下落したとは言っても1,200ドルの節目を挟んでのボックス圏内での取引であり、依然として明確な方向性を打ち出せているとは言い難い状況にある。チャートでも、50日移動平均線が1,197.20ドル、100日移動平均線が1,210.30ドル、200日移動平均線が1,215.30ドルなど、長期トレンドの指標も軒並みこの1,200ドルに収束しつつあり、いわゆる「膠着相場」化していることが確認できる情勢にある。 1~3月期の米経済が急減速したことが確実視される中、金市場においては、引き続きFRBが利上げに着手する流れを相場に織り込むことができるのか慎重な見方が強いことが窺える。イエレンFRB議長は5月22日の講演において、「年内のいずれかの時点でフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標引き上げの最初の措置を講じることが適切になるだろう」と、年内に利上げ着手が行われる可能性が高いことを再確認している。これを受けて、ドル相場安・金相場高の流れには間違いなくブレーキが掛かった。しかし、この発言の前には「想定通りに景気回復が続いた場合には(If the economy continues to improve as I expect)」との必ずしも実現が容易ではない前提条件が課せられており、この条件が本当に満たされているのか、マーケットが評価を下しかねていることが、金価格の方向性が定まらない背景である。… … …(記事全文4,431文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)