□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年05月29日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。今回は短期の市況とは少し離れて、中国の金政策について紹介します。余りメディアでは取り上げられていないようですが、金市場的にはAIIB構想と同じようなインパクトのある動きが始まりそうになっています。中国人民元、金、米ドルの関係性が目まぐるしく変わる時代を迎える中、最新の動きを検証してみます。 =================================== シルクロードで中国が打ち出した新たな金政策、本格化するドルへの挑戦 =================================== <中国のSDRバスケット通貨組み入れは確実に> 国際通貨基金(IMF)の中国経済審査チームは5月26日、中国人民元が過小評価されているとのIMF公式見解を撤回した。具体的には、「過去1年の実質的、効果的な大きな相場上昇によって、人民元レートはもはや過小評価されているとは言えない水準になった」としている。その上で、IMFの特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに対する人民元組み入れ問題について、ロドローラー副局長は「仮定(if)」の話ではなく「時期(when)」の問題だとして、組み入れ決定に事実上のゴーサインを出さした。今年は5年に一度あるSDRの組換えが可能な年になるが、IMF側から人民元のSDR採用について事実上の言質をとった形になる。最終的にはIMF理事会での投票で決定されることになるが、人民元が現在の米ドル、ユーロ、円、英ポンドに次ぐ第五の国際通貨となる時代が着実に近づいている。 2010年の議論では、条件の一つである「輸出高」の基準は満たしたものの、「流動性」の基準は満たせなかったことで、バスケット通貨採用は実現しなかった。中国経済の拡大で決済通貨としての地位は確立していたが、ドルやユーロなどには存在しない各種規制の影響で流動性に対する信認が得られなかったことで、バスケットへの組み入れは見送られた。しかし、中国当局はその後の5年間で資本規制の緩和を進めてIMFに秋風を送り続けており、その成果が漸く結実しそうな情勢になっている。… … …(記事全文4,126文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)