□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年05月20日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。3月下旬からきれいな上昇トレンドを描いてきた原油相場ですが、5月中旬は上げ一服となり、逆に下値トライの兆候を見せ始めています。これまでの原油相場高に対する一般的な理解からは説明が付きづらい値動きですが、当レポートでの分析に従えば、自然な流れと言えるでしょう。原油相場の現状と短期的なポイント、更にはゴールドマン・サックスなど大手金融機関の分析内容を紹介します。 =================================== シェールオイルの減産見通しが一段と強まるも、弱含み始めた原油相場 =================================== <原油高は60ドル水準で一服中> NYMEX原油先物相場は、3月17日の1バレル=42.63ドルをボトムに5月6日の62.58ドルまで、最大で19.95ドル(46.8%)の急反発となっていた。こうした値動きを受けて原油相場では底打ちを指摘する声も強くなっており、例えば5月6日の日本経済新聞電子版では、「米国の油田開発に使う掘削設備(リグ)の稼働数の減少傾向が続き、需給緩和の要因だったシェールオイルの生産が減少に転じるとの観測もこのところの原油価格の上昇を支えている」との解説を行っている。すなわち、需給緩和の要因はシェールオイルの増産であり、そのシェールオイルが減少に転じるとの観測が強くなっていることで、需給緩和を背景とした原油安が巻き戻されているとの分析である。 このような分析は日本経済新聞に限定されたものではなく、一般メディアのみならず専門家向けの情報ベンダーでも、同様の分析内容のものが目立った。もちろん、これ以外にもリビアの生産トラブルやサウジアラビアの公式販売価格(OSP)引き上げ、米国の原油在庫がピークアウトするとの見通しなども買い材料として指摘されていたが、基軸部分にあったのは「米国の生産調整で需給緩和状態は解消される」という、教科書的な需給理論に沿った分析だった。… … …(記事全文4,373文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)