□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年3月26日第261号 ■ ============================================================== 安倍首相が外務省組織の外交を壊したと認めた日経新聞 ============================================================== きょう3月26日の日経新聞に笑い話のような外務省の人事記事があった。 しかし、それは同時に笑い話では済まされない深刻な記事でもある。 その記事は、きのう3月25日の閣議で、横井裕という外務官僚が駐中国大使に任命されたことについて書いた記事だ。 横井裕大使はいわゆる中国語研修組のチャイナスクールだ。 そのチャイナスクールが6年ぶりに駐中国大使に任命された。 この人事は、語学や人脈を生かした対中外交外交重視のあらわれで、中国側からも期待の声が聞こえるという。 私が笑止だと書いたのは、中国語を研修した外務官僚が駐中国大使に任命されたから期待できると、言わんばかりに日経が書いたところだ。 いうまでもなくそれだけで外交が改善されるわけではない。 言葉や土地勘はもちろん重要であるが、その人物の能力や資質こそがより重要であることは言うまでもない。 そして私が、深刻だと書いた理由は、その記事が書いた次のくだりである。 その記事は、かつて横井氏が駐中国日本大使館の報道官として勤務していた時のエピソードとして、「流ちょうな中国語と対中政策への深い理解が印象的だった」という中国共産党機関紙の評価を引用し、「困難な問題があったとき外交的に解決できるよう活躍を期待する」という菅官房長官の25日の記者会見の言葉を紹介した上で、次のように書いている。 「・・・ただ安倍政権は谷内正太郎・国家安全保障局長と 楊潔篪(ようけっち)国務委員(副首相級)のパイプで日中間の課題を処理しており、(横井)大使が担う役割は限定的だ、上海総領事や中国首席公使を歴任した横井氏に人脈があっても、大使という公式な立場で自由に接触するのは難しい・・・」 これこそが、深刻である。 たとえ横井大使が、中国語研修に加え、能力、資質の備わった優秀な外交官であったとしても、いまの安倍首相の下では、活躍する余地はない。 安倍首相は谷内正太郎、斉木昭隆という二人の元・現次官を重用して外交を私物化してしまった。 谷内、斉木という二人の外務省組織の元・現次官は、出世と保身のために外務省組織を安倍首相に差し出した。 それでも彼らが正しい外交を安倍首相にさせているのならまだ許せる。 しかし、どうひいき目に見ても、間違った安倍首相の言いなりだ。 いまの外務官僚たちはやる気をなくしているに違いない。 まともな外務省OBたちは嘆いているに違いない。 日経新聞のこの記事は、安倍首相が外務省組織による外交を壊してしまった事を見事に認めたのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)