□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年3月15日第228号 ■ ============================================================== 改憲を選挙公約に掲げるとは、安倍首相はいい度胸だ ============================================================== きょう3月15日の読売新聞の記事を見て驚いた。 安倍首相がきのう3月14日の参院予算委員会の集中審議で、憲法改正を選挙公約に掲げると話したというのだ。 前日の自民党党大会でも明言しなかったというのにである。 きょう3月15日の朝日新聞が書いているように、首相の「任期中の改憲」発言について、直近の世論調査では、評価しない(49%)が評価する(38%)を大きく上回っているというのにである。 本当にそう言ったのか。 議事録を読んでみるとこうなっている。 「自民党は立党以来、党是として憲法改正を主張してきた。改正草案を取りまとめており、今後とも公約に掲げていく。党の運動方針の中には憲法改正が書かれている。これが変わることはない。『選挙があるからやめた方がいい』という声は、一回も直接聞いた事がない」 この言い方は必ずしも読売新聞が見出しで掲げるほど明確に、今度の参院選の公約として、改憲を掲げた事にはならない。 そして私は安倍首相は今度の参院選で改憲を選挙の一大争点とすることはないと思う。 集団的自衛権行使容認を解釈改憲で行ったように、安倍首相はそこまでの度胸はないと思うからだ。 しかし、総理の本心が改憲にあることは間違いない。 今度の選挙は、明言しなくても、事実上の改憲選挙になる。 そして総理がそこまで強気になる理由がある。 それは野党第一党の民進党が改憲に対するごまかし政党であるからだ。 民進党は改憲反対を明確に打ち出せない。 平和主義を唱え、立憲主義を唱える事はあっても、憲法9条を変えてはいけないと明示できない政党だ。 そもそも立憲主義を強調するところにごまかしがある。 立憲守護は決して改憲反対ではない。 正当な手続きを踏めば改憲ありと言っているのだ。 憲法9条を変える事に明確に反対する政党は、もはや共産党と社民党だけだ。 そして社民党は事実上消滅しつつある。 つまり憲法9条を守れと唱える政党は、いまや日本共産党だけになってしまった。 だから安倍首相は強気になれるのだ。 自公と民共の対決だと強調するのだ。 そこでいう「民」とは、民主党から民進党になっても同じである。 そして民共は改憲では水と油だ。 つまり安倍首相の強気の背景には、改憲問題を掲げれば、たちまち野党共闘が崩壊する事を知っているからだ。 日本共産党だけでは憲法9条は守れない。 憲法9条を変えてはいけないと願う国民が支持できる国民的な政党が、日本共産党のほかにどうしても必要になってくる。 それこそが、私が唱える新党憲法9条のごときものである。 その必要性に国民が気づく時は、まだ先のような気がする。 気づくとしてもそれは今度の参院選の後かもしれない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)