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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

デミストラではシリア和平は実現しない
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年2月1日第98号 ■   ==============================================================   デミストラではシリア和平は実現しない  ==============================================================  シリア内戦を終結させる和平協議はどういう結末で終わるのだろうか。  シリア和平協議の中心は、いまやシリアのイスラム国壊滅が目的となってしまったごとくだ。  しかしアサド独裁政権が続く限り内戦は終わらない。  イスラム国掃討も、アサド独裁政権追放も、どちらも達成しなければシリアの真の和平は訪れないのだ。  しかし現実はそのどちらも見通せない。  いくら和平会議を重ねても奏功しそうもない。  しかし私がここで書きたい事はそのことではない。  この重責を任されているデミストラ国連特使のことだ。  デミストラは、私がレバノン大使をしていたちょうど同じころ(2001年―2003年)レバノンに駐在していた中東問題担当の国連代表だった。  デミストラは、中東で起きる様々な紛争の調停を長年担当して来た国連職員で、当時はレバノンに常駐して、レバノン・シリアの関係やレバノンのパレスチナ難民問題を担当していた。  レバノンを我が物顔に支配するシリアのアサド政権やそれを許す米国に批判的で、イスラエルと米国のパレスチナ政策にも疑義を呈していた。  好人物で、私が親しくしていた外交団仲間の一人だった。  私が彼と最後にあったのは、私がレバノン大使を辞めて再びレバノンを訪れた時であった。  その時彼はいつものように笑顔で私を執務室に出迎えてくれ、私の質問にも、あの時と同じようにこころよく応じてくれたが、その時彼は私が外務省を去って、日本政府を批判する評論家になっていた事を知っていた。  別れ際に彼が振り返り、私に念を押した言葉は、自分はお前が野に下ってもいつまでも友人であり続けるが、自分が米国に批判的な事を言っていたとだけは、口外しないでほしい、というものであった。  それから10年ほどたって、デミストラは見事に出世し、いまや国連事務総長の特使としてシリア和平協議の責任者にまで上り詰めた。  出世したからもういいだろう。  有料メルマガという限定された場であるから口外にはならないだろう。  国連という組織で出世するためには米国に逆らうことは出来ない。  だから私はデミストラを悪く言うつもりはない。  しかし、米国のいう事を聞いていれば、和平協議は奏功しないことも事実だ。  国連特使としてのデミストラのジレンマはそこにある。  このところ頻繁に国際ニュースに登場するデミストラは昔とほとんど変わりがない。  こころなしか貫禄が出たような気がするぐらいだ。  そんなデミストラを見るたびに、10余年前のデミストラを懐かしく思い出している(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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