□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年1月29日第888号 ■ ============================================================== 甘利サプライズ辞任でごまかされてはいけないこと ============================================================== 甘利大臣の辞任発表はサプライズに違いない。 しかしサプライズ辞任の報道は騒ぎ過ぎだ。 その報道にごまかされて見逃してはいけない事がある。 まずサプライズそのものが、多分につくられたものであるということだ。 サプライズといいながら各紙は、辞任は数日前から決まっていた、と書いている。 これほどの矛盾はない。 メディアや政治評論家は、事件が発覚した時から辞任は避けられない事を知っていた。 当時の報道ぶりがそれを語っていた。 私がはやばやと「甘利は終わった」と書いた理由はそこにあった。 次に、甘利辞任で終わらせてはいけないという事である。 明らかな収賄罪であり、かつての政局なら、議員辞職そして内閣総辞職まで及ぶのほどの事件である。 しかし今回はそうはならないだろう。 まるで緊迫感が無い。 政治がそこまで軽くなったのだ。 野党にはそこまでの追及の覚悟も能力もなく、司法もメディアも動かないだろう。 サプライズ辞任はこれ以上追及しないこととの取引だとさえ思えてくる。 私が注目したのは安倍首相が後任に石原伸晃を任命したことだ。 サプライズはむしろこっちだ。 これほど無能な政治家はいない。 各紙もこぞってそう書いている。 石原で大丈夫かと。 石原は谷垣を裏切って総裁選に名乗りを上げ、麻生に「俺の仁義にはない」と批判された男だ。 そのあげく安倍首相に敗れ、割に合わない大臣を甘んじて受け、その大臣の時に金目失言で失脚した男だ。 その時点でとっくに政治家は終わっていた。 誰もがそう思っていた石原を安倍首相がわざわざこの局面で任命した理由はどこにあるのか。 私は安倍首相が危機感を抱いて、石原慎太郎と、その石原を尊敬する橋下徹にすがった結果だと思っている。 彼らにすがって意地でも極右路線を押し通すということではないのか。 それにしても、各紙がこぞって甘利の辞任がアベノミクスやTPPにとって打撃だと書いているのには笑ってしまう。 そもそも甘利をそれほど重要な閣僚だと書くことが笑止だ。 しかも、アベノミクスは甘利とは関係なく既に行き詰まっている。 さらにTPPは官僚がすべてを取り仕切って来た。 TPPの全貌を知っているのは官僚たちだ。 官僚に依存する以上、誰が大臣になっても同じなのだ。 これを要するに甘利辞任と安倍政権の行き詰まりは無関係だ。 どうせダメになるなら、甘利の辞任が痛かったという口実にするのが好都合なのだ。 そう思わせてくれるほど馬鹿げた報道ぶりだ。 そして安倍政権がピンチになった時に必ず出てくるのが北朝鮮の脅威だ。 弾道ミサイル発射がまたもや取りざたされている。 北朝鮮と安倍政権の芝居だ、などと言うつもりはない。 北朝鮮の瀬戸際作戦を考えると弾道ミサイル発射もあり得るし、それを警戒することは当然だ。 しかし大騒ぎをするほどの事ではない。 このタイミングでメディアが大げさに書くことが作為的だと言っているのだ。 つまりこれは安倍迎合の日本のメディアの問題なのである。 ほかにも、ごまかされてはいけない事はいっぱいある。 しかし、これ以上書くことこそ、ごまかされることになる。 甘利辞任よりはるかに重要な安倍失政の数々こそ、我々は目を向けなければいけない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)