□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2016年1月22日第71号 ■ ============================================================== 米国原油輸出先の第一号になった日本をどう評価するか ============================================================== 2、3日前のNHKの早朝のニュースだったと思うが、次のようなニュースを一瞬耳にした。 すなわち、米国が40年ぶりに原油輸出を解禁した、日本がその輸出先の第一号となった、と。 このニュースを聞いた時、私はその瞬間、単純にこう考えた。 日米同盟のよしみで日本が真っ先に買う事が出来たのだろうと。 そう思って、そのままやり過ごした。 ところが米国が40年ぶりに原油輸出を解禁した事を報じるきのう1月21日の読売新聞の記事を読んで、その考えが間違いではないかと思い始めた。 すなわちその記事はこう書いている。 米国の輸出解禁は、掘削技術の発展に伴い、「シェールオイル」と呼ばれる原油が産出され、米全体の産油量が増えたことが背景にあると。 すなわち、本来であれば戦略物資である原油を海外に売る事には慎重な米国が40年ぶりに輸出解禁に転じたのは、産油量が増えたからなのだ。 しかもだだの増産だけが理由ではない。 読売の記事はこう続けている。 「・・・米国内はシェールオイルに対応しづらい製油所が多いため在庫がだぶつき、石油業界は米国内より高値で売れる輸出に活路を見だそうとしていた。業界の支援を受けた共和党が解禁を唱え、再生可能エネルギーの利用を重視しているオバマ政権・民主党も妥協した・・・最近の原油安の進行はロシアやサウジアラビアだけではなく、米石油業界にも打撃になっている・・・北米では15年(11月まで)、石油関連企業36社が倒産している・・・」 ひょっとしたら日本は米国に頼まれて、シェールオイルからつくられた割高の米国原油を買わされたということではないのか。 もうひとつの対米従属のあらわれではないのか。 米国産原油の輸入を決定した日本の石油元売り大手「コスモ石油」はこう言っているらしい。 「米国産原油を輸入するのは、調達先を増やし、安定した原油確保につなげるためだ、紛争やテロなどの地政学的リスクが高い中東への依存を減らすことができる(コスモ石油広報)」と。 それはウソではないかもしれない。 しかし、原油需給がここまで急激に買い手市場にある時に、それだけが本当の理由なのか。 割高な原油の購入を米国に求められ、それに真っ先に応じて忠誠をつくしたということではないのか。 専門家の意見を聞きたいものだ。 そう思って読んだ読売新聞の記事であった(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)