□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月24日第486号 ■ ============================================================== 「安全保障」を明記することは当然だと社説に掲げた産経新聞 ============================================================== 6月20日に成立した原子力規制委員会設置法の付則に書かれた 安全保障条項について、きょう6月24日の産経新聞が社説を掲げた。 題して「『安全保障』明記は当然だ」という社説である。 この見出しを見て私は直感的に受け止めた。 さすがに産経新聞の社説だ。核兵器を持って何が悪い、と言う暴論を 堂々と社説に掲げている、と。 ところが読む進んで行って驚いた。 まったく逆なのだ。 原子力基本法の第2条の1項は、「原子力の研究、開発及び利用は、 平和の目的に限り、安全の確保を旨として」、とはっきりと規定されて いる、だから「安全保障」という言葉が核兵器開発などの軍事目的に及ぶ という拡大解釈の余地はない、と書いている。 しかも、驚くべきことに、韓国のメディアが日本の核武装を警戒する 記事を掲載したことや、軍事利用への懸念から付則の削除を求める国内 世論について言及し、次のように書いているのだ。 「この件を単なる誤解や曲解として事態を軽視する対応は禁物だ。政府 は国内外に対し、速やかに誤解を解くための手を打たねばならない」、と。 さらにまた次のように書いている。 「日本は非核保有国として唯一、再処理が認められている。(この改定 が)核兵器製造に直結しないことを、世界に向けて改めて強調しておく 必要がある」、と。 この産経新聞の社説は永久保存版だ。 あの産経新聞でさえ、日本は核武装はしない、できないと認めたのだ。 あの産経新聞が、日本が国際社会から核兵器疑惑国と見られてはいけ ないと警鐘を鳴らしたのだ。 もし産経新聞が「安全保障に資する」という言葉の中に軍事的意味合い や、核兵器開発の意図がまったくないと信じているのなら、「安全保障」 の語を削除することに何の反対もないことになる。 もし産経新聞がそれでも付則削除に反対するなら、この社説そのものが、 その書き方に反して、核開発への意図を隠しているということになる。 2012年6月24日の原子力基本法に関する産経新聞の社説は永久 保存版であると私が思う理由がここにある。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)