□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月16日第462号 ■ ============================================================== いまこそ蘇らせるべき大田県政下の沖縄国際都市形成構想 ============================================================== 沖縄復帰40周年記念式典が行なわれたのは5月15日だった。 あの時、私が注目した人物が二人いた。 式典に招待されていながらあえて欠席した大田昌秀元知事と、出席し て壇上で野田政権と米国を正面から批判した上原康助元沖縄開発庁長官 である。 いずれも日本の風土からみれば勇気のある行動であった。 その大田氏が5月15日の読売新聞のインタビューに答えていた。 「基地押し付けは『差別』」という見出しのその記事の中で私が注目 したのは、次の言葉だ。 すなわち10年後の沖縄復帰50年に向けた沖縄の将来像を聞かれ て、大田氏は次のように答えている。 「新聞の投書欄に、沖縄への『差別』という言葉がよく出る。日米 安保が大切と言って沖縄に基地を押しつけてきたのは明らかな差別だ。 その不満が高まり、沖縄独立論が出てきている。それがどう展開するか、 それに日本がどう対応するかが注目される・・・」 この大田氏の言葉を裏付けるように、5月26日の東京新聞の投書欄 に茨城県土浦市の読者から、次のような意見が掲載されていた。 すなわち、なぜ政治家やマスコミは沖縄の独立を主張し、その青写真 を語らないのか、そもそも沖縄は独立国(琉球王国)であった。沖縄県の 陸上面積は狭いが、排他的経済水域と領海、海水体積を加え、陸と海を 一体的に見れば巨大な海洋国家となる。この広大な海洋国家は海底、 海洋、水産資源の宝庫で、経済的に十分自立できる・・と。 その一方で沖縄県民の世論調査では日本からの独立を望む声は常に 少数派にとどまっている。 確かに独立を本気で考えるような沖縄住民は多数にならないだろうし、 たとえ多数になっても日本政府がそれを認めないだろうが、ここまで 日本が危うくなり、日本政府がますます対米従属になって沖縄住民の 声を無視し続けるようになると、本気で独立を考える住民も増えてゆく かも知れない。 私は沖縄の未来は独立にあり、その事によってあらゆる可能性が広がる と本気で思っている。 そう思っていたら、大田県政下で、沖縄国際都市形成構想なるものが 考えられていた事を知った。 月刊誌「世界」7月号に島袋純琉球大学教授の「沖縄振興開発体制へ の挑戦」と題する論文が掲載されていた。 その中で要旨次のように書かれている。 ・・・国際都市形成構想の重要な要素は、第一に基地返還アクション プラン(段階的基地の撤去)、第二に全島フリーゾーンと呼ばれる自由 貿易の推進、第三に沖縄開発庁の廃止による権限、財源、組織などの国 から沖縄県への移譲、である・・・ おどろくべき構想だ。 沖縄独立への布石とも言うべき構想だ。 だからこそ急激な巻き返しが日本政府より引き起こされ潰されたのだ。 こんな動きがあったとは私は知らなかった。 いまこそ大田県政下で提案され、そして潰された沖縄国際都市形成構想 を不死鳥のように蘇らせる時だ。 おりしも橋下大阪都構想の実現に向けて地方自治法改正が今国会で行な われようとしている。 その法案が成立すれば地方主権へと大きく流れが変わる。 民主・自民・公明大連立が沖縄切り捨てにつき進む中で、沖縄県民が 立ち上がる時は今である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)