□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月26日第750号 ■ ============================================================= TPP、普天間の次は米国産牛肉の輸入解禁だ ============================================================= 今の野田首相の頭には、11月にハワイで予定されているオバマ 大統領との首脳会談を成功させることで頭が一杯のようだ。 成功させるということはすなわち米国の要求を丸呑みすることだ。 TPPへの交渉参加は決めた。 普天間問題も沖縄住民の気持ちより日米合意の着実な実施を優先する。 次は米国産牛肉の輸入解禁だ。 メディアはこれまでTPPと普天間についてはさんざん書いてきた。 これからも書き続けるだろう。 しかし、見ているがいい。これからは米国産牛肉問題についての記事 が目立ってくる。 そしてその記事は、間違いなく、米国産牛肉輸入の解禁はやむを得ない というものになる。 その証拠を10月25日の朝日新聞の社説が見事に示していた。 朝日の社説は「牛肉の検査 科学的な判断の尊重を」と題して次のよう に書いていた。 まず冒頭から、世界一厳しい日本の検査基準と、それに基づく輸入制限 は妥当か、と問いかける。 そして、米国だけでなくフランスからも禁輸の見直し要求が出た、と 米国だけの要求に屈する訳ではない、といわんばかりだ。 そして、次のように続ける。 牛海綿状脳症(BSE)感染が見つかった2001年に、政府は感染原因と される感染牛の肉骨粉を飼料にすることを禁止した。 それ以来、見つかった感染牛はたったの一頭だった、心配はなくなった と。 そして、それでも日本は国際的に見て厳しすぎる検査を繰り返して来た と、次のように解説する。 すなわちBSEの原因となるプリオンが蓄積するには時間がかかり、普通は 生後三年以上経たないと検査しても見つからない。 猛威をふるった欧州諸国でも検査対象は生後72ヶ月(6年)以上だ。 プリオンがたまりやすいとして除去しなければならない部位も、欧米 と比較して日本はその範囲が広くされている。 そして野田政権が検査の月齢制限を「20ヶ月以下」から、「30ヶ月 以下」に、条件緩和をしようとしている事を歓迎している。 これを要するに、朝日の社説は米国がこれまで日本に言ってきたことと 同じである。 野田首相がオバマ大統領に米国産牛肉の輸入解禁を約束してくることは 対米従属でも、国民の安全を軽視することでもない、と朝日新聞は言って いるのである。 今後はこういう論調が増えてくるに違いない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)