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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

原子力発電所の本当の危険性
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン 2010年8月3日発行 第43号 ■        ===============================================================        原子力発電所の本当の危険性                                          ================================================================     日本の成長戦略のためには、というよりも大手企業の生き残りのためには、 武器輸出も原子力発電所の売り込みも、もはや当然であるかのごときだ。  市民派首相を戴いた菅民主党政権の時にそれが猛烈に進行するとは、何と言う 皮肉であろうか。  本来ならばそれに反対する護憲政党がここまで党勢を退化させ、それどころ ではないという中で、それが進んでいく。  そんな折から8月2日の朝日新聞Glove第45号で「日本の原発を中東で売る」 という特集記事を見つけた。  直嶋正行経済産業相は、世界が武器輸出や原発売込みを進める中で日本はどう 対応するのか、核不拡散と原発輸出は両立できるのか、と問われて次のように 答えていた。  「軍事協力はできないので、相手国の人材育成、技術向上にしっかり手を貸す。 原発を他国に輸出することで、日本の技術のみならず、原子力の平和利用を続けて きた経験も生かせる」  見事なすれ違い答弁だ。  しかし、それを誰場批判できるか。  日本の政治がそれを認め、大企業が世界の競争に負けるな、欧米ならいざしらず 中国、韓国に負けるわけにはいかないなどと大合唱し、そして大方の国民がそれを 支持する中にあって、武器輸出や原発を海外に売り込まないという政策を民主党 政権がとれるだろうか。  民主党政権の担当大臣である直嶋経済産業大臣が、信念に基づいて辞任しない 限り「できません、やりません」と言えるだろうか。  そんな中で、原子力発電推進の危険性について、これ以上説得力のある事例は ないと思われる記事をきょう8月3日の毎日新聞に見つけた。  朝日Globeの特集号では中東ヨルダンの原子力発電所に対する日本の売り込み攻勢 が書かれていた。  昨年暮れにアラブ首長国連邦への原子力発電売り込み合戦で韓国に敗れた日本と しては、今度こそ負けられないというわけだ。  そのヨルダン原子力発電所の建設場所は、アカバという港町郊外(7キロ)で あるという。  かつてアラビアのロレンスがアラブ反乱軍を率いてオスマントルコを破った アカバ。  ところが、この原発建設予定地にエジプトからロケット弾が打ち込まれ死傷者が でたという記事が8月3日の毎日新聞で配信された。  原子力発電所の危険性は事故が起きたときの放射線漏れ被害である。  古くは米国のスリーマイル島事故(79年)やソ連のチェルノブイリ事故(86年) がある。  ソ連のチェルノブイリ事故などは、その被害を目の当たりにしたゴルバチョフ 首相がソ連の核兵器削減を決めたといわれたほどだ。  しかし、事故や地震などによる放射線漏れには大騒ぎをしても、ミサイル攻撃に よる原子力発電所破壊については誰も真剣に論じる事はない。  中東に原子力発電所が拡散すればその危険性はイランの核兵器どころではない。  狭い国土に多くの原子力発電所を持つ日本はどんなに防衛力を高めても一発の ミサイル被弾で未曾有の大被害をこうむることになる。  この事を少しでも冷静に考えれば原子力発電の中東への売込みなど、とんでも ない事がわかる。  それでも原子力発電所の売込みは止まらないだろう。  わかっていながら誰も止めようと言い出す勇気を持たない。  この大いなる矛盾を我々はどう考えればいいのだろうか。                                   了                                                                                 おしらせ                                                                           「さらば日米同盟」の出版記念講演がいよいよ近づいてきました。 政治評論家の森田実さんの特別参加を得て次の要領で行ないます。 私の思いを伝えます。森田さんに私の日ごろの思いをぶつけます。乞うご期待。  13:35-14:00 天木直人「出版の意図を語る」  14:05-14:45 森田実 「特別講演」         休憩  15:00-16:00 天木直人・森田実対談(司会天木)  16:00-17:00 聴衆との応答(司会天木) 日時 8月8日(日)    午後一時開場 場所 赤坂区民センター大ホール    港区赤坂4-18-13    地下鉄銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口徒歩10分    大江戸線・半蔵門線 青山一丁目駅  4番出口徒歩10分 参加 無料(予約の必要はありません。直接会場へお越し下さい)。 (連絡先:春田 090-2415-7617 u12u9lo6@image.ocn.ne.jp                 ユー12ユー9エルオー6)             

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