━━━▽新メルマガ配信システム「foomii(フーミー)」からのお知らせ▽━━━ 『天木直人のメールマガジン』の配信システムが7月1日から変更されます。継続して 購読をご希望の方は、お手数ですが改めて読者登録の手続きをお願いいたします。 ≪購読の手続き・お問い合わせはこちらから≫ http://foomii.com/00001/ ━━△7月から、購読料が月額525円から月額500円になります!△ ━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年6月29日発行 第224号 ■ ───────────────────────────── スーダンPKO派遣の迷走が意味するもの ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 選挙報道やサッカー、相撲賭博報道でメディアが埋め尽くされている中で、およそ見過ごされる ようなテーマについて、あえて書いてみる。 民主党の政策調査会長である玄葉光一郎という政治家が27日の夜のNHK選挙討論会で語っていた。 今後は自衛隊のPKO活動を強化していきたい、と。 それを聞いた私はどうしてもこのメルマガを書かざるを得ないと思った。 国際貢献のために自衛隊を海外に派遣する事は、もはや当然のごとく語られる。 NHKの討論会でも、この玄葉民主党政調会長の発言に異議を呈する政治家はいなかった。 しかし、国際貢献の名の元に行われる自衛隊の海外派遣には大きな矛盾があるのだ。 6月13日の産経新聞に、民主党政権は6月12日、国連平和維持活動(PKO)スーダン派遣に 陸上自衛隊のヘリコプター部隊を派遣する方針を固めた、という記事があった。 これを読んだ私は、またひとつ菅直人民主党政権と自民党政権の外交・安全保障政策は同じに なったなと思った。 国会閉会中をいい事にして、ろくな議論もせずにどんどんと自衛隊の海外派遣を行なおうとする姿勢は、 自民党政権下とまったく同じだ。 ところがそれから10日ほどたった6月24日付の産経新聞が、「スーダンPKO派遣足踏み」という 記事を掲載した。 それを読んだ私は、てっきり護憲政党が待ったをかけたのかと思ったがそうではなかった。 その記事によれば北沢防衛相が防衛省内の慎重論を反映して反旗を翻したのだという。 これに対して岡田外相が「スーダン(派遣)は大事な国際貢献だ。自衛隊を出してもらわなくては困る」 と反論したという。 仙谷官房長官が引き取って関係閣僚協議で「参院選後のもう一度話し合おう」ととりなしたが、岡田外相は 「それでは遅すぎる」と反論、次回協議の日程も決められないまま宙ぶらりんのままだという。 問題はなぜ防衛省が自衛隊の反対に消極的であるかだ。 24日の産経新聞は北沢大臣が「派遣に金がかかりすぎる。今からでは準備が間に合いそうもない」と語った と報じている。 これはおかしい。米国のためなら武器購入や思いやり予算を大盤振る舞いする防衛省が、予算の都合で PKO派遣をためらうはずはない。準備期間が足らないのならはやく準備をすすめればいいだけの話だ。 そう思っていたら6月26日の朝日新聞「政策ウオッチ」というコラムで北沢大臣の次の言葉が引用されていた。 「危険なわりに自衛隊の評価につながらない」、と。 これが本音なのだ。 そもそも日本の自衛隊の海外派遣は、自衛隊派遣を外交の道具にしようとする無責任な外務官僚と、権限拡大は 望むところだが危険なところには行きたくない、日米同盟という錦の御旗の下にメディアに注目されて行くのは いいが、つまらない国には行きたくないという防衛省の、官僚同士の話し合いで決められてきた。 「政策ウオッチ」を書いた河口健太郎という記者はこう書いていた。 政府主導が看板の民主党政権では閣僚レベルで調整する例が目立ち、対立が先鋭化することもある。 民主党が復活させる政策調査会で膠着状態を解消する体制づくりが必要ではないか、と。 それは違う。玄葉政調会長がいくら約束しても、それだけでは動かない。 岡田外務大臣や北沢防衛大臣が政治家としての識見から対立しているのではない。 岡田外相や北沢防衛相が官僚の意向を代弁するから話が進まないのだ。 今回のスーダンPKO派遣は外務省と防衛省の間で話がまとまっていないということなのだ。 それを政治が主導できないのだ。 日本の政治家も国民も、日本の外交・安全保障をもっと真剣に考えなえればならない。 外務省や防衛省の官僚たちの保身や権限争いに丸投げしてはいけない。 自衛隊は国際貢献や対米配慮のための道具であってはならない。 自衛隊は何よりも日本を守る専守防衛であるべきだ。 それに徹すれば自衛隊員の士気もあがる。少ない防衛予算でより効果的な防衛ができる。 完 以下の通りお知らせします。 1. 講演会 日時 6月30日(水) 午後7時─8時半 場所 県市町村自治会館 鹿児島市鴨池新町7-4 演題 民主党政権の対米外交を斬るーさらば日米同盟 参加無料、誰でも参加可 申し込み先 鹿児島県保険医協会 電話 090-254-8662 メール kahokyou@yahoo.co.jp 2.「さらば日米同盟」サイン会 日時 7月1日(木) 午後5時─6時 場所 ジュンク堂書店鹿児島店 鹿児島市呉服町6-5 マルヤガーディンズ5・6階 電話 099-216-8838 3.講談社G2ウェブサイトにおいて「さらば日米同盟」出版についての インタビュー記事が配信されています。 G2ウェブサイトへのアクセスは次の通りです。 http://g2.kodansha.co.jp/
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)