━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/10/15 第三者委員会報告完全無視九州電力のゆくえ 第15号 ──────────────────────────────────── 九州電力の「やらせメール」シンポジウム問題について、九州電力は弁護士 の郷原信郎氏を委員長とする第三者委員会に調査を依頼した。第三者委員会は 9月30日に報告書を提出した。 第三者委員会は事実関係を綿密に調査し、極めて客観的にかつ公平の問題の 所在を明らかにしたうえで、九州電力経営者の責任を厳しく問う報告書をまと めた。 これに対して九州電力は、「やらせメール」問題は古川康佐賀県知事が九州 電力との密会の際に要請したことを受けて九州電力が組織ぐるみで行ったもの であるとの第三者委員会の指摘に対して、これとは異なる独自の見解をまとめ て発表していた。 九州電力の独自の見解は、佐賀県知事は「やらせメール」要請をしてはおら ず、この知事発言の真意を汲み取りそこなって作成された発言メモが発端とな って問題が発生したとするものである。 九州電力は最終的に第三者委員会の認定を無視する独自の見解に基づいて問 題の経緯や再発防止策をまとめた最終報告書を、9月14日、経済産業省資源 エネルギー庁に提出した。眞部利應社長と松尾新吾会長については役員報酬を 3カ月間、全額カットとする処分を決めたが、留任する。 9月14日夕刻に記者会見を行った真部利應社長は、 「辞任届を提出していたが、臨時取締役会は受理しなかった。多難な道のりだ が課題解決に全力で取り組みたい」と述べて、社長続投の意向を表明した。 眞部社長は7月の衆院予算委員会で辞任の意向を表明していたが、この意向 を撤回する行動を示した。 他方、同じような問題が北海道電力でも広がっている。 北海道電力でも泊原発(北海道泊村)を巡る「やらせ」問題が浮上しており、 北海道電力も九州電力と同じように第三者委員会を設置して調査にあたらせた。 市川茂樹弁護士を委員長とする第三者委員会は9月14日、調査報告書を発 表した。… … …(記事全文4,479文字)
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植草一秀(政治経済学者)