━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/10/09 米国民衆デモ指摘「分配問題」が21世紀最重要課題 第9号 ──────────────────────────────────── 米国で格差是正を訴えるデモが広がりを示し始めている。 これは対岸の火事ではない。 日本人は温厚で、権力に対して従順であるから、民衆による権力への抗議運 動はなかなか起こらない。 しかし、絶対に動かないわけでもない。 江戸時代には島原の乱や大塩平八郎の乱などの事例がある。いずれも悪政に 耐えかねた民衆が、力量のあるリーダーを先頭に運動に参加していったケース である。 明治維新は本来、理想に燃えたものであったが、維新政府が成立すると、成 り上がり者の志士の多くが利権亡者に変身した。 維新の功業をないがしろにする新しい利権集団の登場に対して、維新の志士 の中から世直しを試みる動きが発生した。 これが第二維新運動であった。 第二維新運動の気分は、西郷南洲遺訓によく表されている。 「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕者を戒め、節倹を勤め、 職務に勤労して人民の標準となり、下民その勤労を気の毒に思うようならでは、 政令は行われ難し。 然るに草創の始めに立ちながら、家屋を飾り、衣服を文り(かざり)、美妾 (びしょう)を抱え、蓄財をはかりなば、維新の功業は遂げられまじきなり。 今となりては、戊辰の義戦もひとえに私(わたくし)を営みたる姿になりゆき、 天下に対し戦死者に対して面目なきぞとて、しきりに涙を催されける。」 ネット上の『遺訓』サイト(http://www.kamou.co.jp/keiten/saigoikun.htm l)から現代語訳を転載させていただくと、 「多くの国民の上に立つ者(施政の任にある者)は、いつも自分の心をつつし み、身の行いを正しくし、おごりやぜいたくをいましめ、むだをはぶきつつま しくすることにつとめ、仕事に励んで人々の手本となり、一般国民がその仕事 ぶりや生活を気の毒に思うくらいにならなければ政府の命令は行われにくいも のである。 しかしながら今、維新創業の時というのに、家をぜいたくにし、衣服をきら… … …(記事全文4,002文字)
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植草一秀(政治経済学者)