━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「植草一秀の『知られざる真実』」 2011/10/08 財務省がひた隠す復興増税規模3兆円圧縮の財源 第8号 ──────────────────────────────────── 震災復興事業を実施するための2011年度第3次補正予算と復興財源の基 本方針が決定された。 3月11日に地震が発生してから7ヵ月が経過しようとしている。雪の降り 積もるころに地震が発生してから、衛生管理に苦しんだ猛暑の真夏が過ぎ去り、 秋の台風・豪雨では浸水の被害を蒙ったのも束の間、もう、再び雪の季節が到 来しようとしている。 政府は国民が国民のために作るものである。国民が悲惨な災害に見舞われて、 とてつもない苦しみに直面している時にこそ、政府はいの一番に国民の生命、 健康、生活を支援するために全身全霊を注ぐべき存在である。 それなのに、7ヵ月もの時間が空費された。 政府が震災復興構想会議の第1回会合を開いたのが4月14日だ。この会議 開催からもすでに半年の時間が過ぎ去ろうとしている。 震災復興構想会議を開いたとき、最初に出てきたテーマが「復興増税」の構 想だった。 政府の復興構想会議を仕切ってきたのは、もちろん財務省である。財務省に とって大切なのは国民ではない。財務省にとって大切なのはカネである。 財務省にとって大切なのは、役人の利権になるカネである。役人の利権にな らないカネはすべて排除の対象だ。財務省が財政再建を叫ぶのは、財政が破綻 すると国民が困るからではない。財政が破綻すると役人の利権に回すカネがな くなるからなのだ。 財務省が切り詰めようとする予算支出は常に、国民生活に関わる部分に投じ るお金である。子ども手当は、教育に大きなお金がかかり、子どもを産み、育 てることをためらう親が大多数だから、その不安を解消するために提案された、 優れた施策である。 しかし、プログラムで決定され、すべての対象家計に一律に支給される政府 支出は役人の利権にはならない。政治家にとってもうま味のない政府支出だ。 だからこそ、「ばらまき」と批判されて廃止されたのだ。 このような理由から財務省がもっとも嫌うのが、1円の利権にもならない 「子ども手当」のような政府支出なのである。… … …(記事全文4,306文字)
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植草一秀(政治経済学者)