━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡邉哲也の今世界で何が起きているのか 2011/09/27 号外!韓国金融危機 銀行間市場で始まった韓国系金融への取り付け騒ぎ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 韓国の経済危機、金融危機が再燃した。すでに韓国系金融機関は海外市場での資金調達が できない、又は困難な状況になっており、たとえ、借入が可能であっても多額のプレミア ムを支払っている。 これを受ける形で、ウォン相場は急落を繰り返し、韓国銀行は推定200億ドルの為替介入 を行い、国内の輸出企業に対して、ドル買いの抑制と海外に留保しているドルの国内還流 を要請した。 ■"フランス - イタリアの銀行、韓国の満期延長を拒否" http://t.co/3ciW8o3T ■韓国メガバンク 海外でのドル資金調達が難しくなっている模様 http://t.co/99EUYtGp ■中国進出の韓国企業、中華系銀行による債務返済延長拒否で連鎖倒産の可能性高まる。 http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2011081904648 ■大きくなるの対外不安輸出入関連..銀行の外貨貸出停止 http://is.gd/o4GxAO ■2009年の流動性の危機またや"...海運業界、現金確保の総力戦 http://is.gd/jFYgqO ここで、もう一度、銀行間市場での資金調達の仕組みを解説する。 ──────────────────仕組み解説───────────────── ★銀行は短期金利と長期金利の利ざやで儲ける★ 貸出において、短期のものは破綻リスクが低い。貸付期間が長くなればなるほどリスク は高くなる。 銀行は自分の信用を利用して短期の低金利の金を集め、長期のリスクのあ る商品に投資して、その利ざやを稼ぐ。 短期の低金利商品 ←金利差が銀行の利益→ 長期の高金利商品 借り換えを繰り返す ところが、銀行間市場が凍結状態になったり、自己の信用が低下すると、短期の低金利 調達が出来なくなり、この資金循環が破綻する。短期で借りたものは決済期が短いので借 り換えができなくなると資金ショートリスクが生まれる。 この為、株式や商品など比較的換金しやすい資産を売却し、手元資金を作る必要に迫ら れる。これが金融危機が発生すると株式などが暴落する仕組みとなる。 この過程で、長期の貸付余力も失われるので、貸し渋りや貸し剥がしが発生し、それが 企業破綻を引き起こし、実体経済を悪化させることになる。 ──────────────────────────────────────── 韓国系銀行は、この短期銀行間市場での借り換えができない状況に陥っているわけだ。 また、金融市場に於いては、一つの銀行に信用不安が発生すると、その貸し手である他 の銀行にもその影響は波及する。つまり、韓国の銀行のほとんどが今回の金融危機の影響 を受けている形となる。 ここで、政府に信用力があれば問題ないのだが、韓国の場合、政府そのものの信用力も 低い。外貨準備としては、額面上3000億ドル近く残っている形となるが、その多くはMBS など換金性の低い商品と推定されており、換金価値としては2000億ドルも残れば良いと思 われる。 政府保証の付いている政府系金融機関が借り換えに失敗している状況は、現在 の状況をよく表しているといえる。 ここのところ、連日のように韓国大統領や金融関係者は、韓国の健全性に対する声明を 出し続けており、必死に信用不安を払拭しようと頑張っている。しかし、それを行えば行 うほど、金融危機が発生していることを世界に知らしめ、韓国からのキャピタルフライト は続く可能性が高いのである。 ■致命的な韓国の金融構造 韓国のメガバンク7行は、現在売りに出ている国有化銀行のウリ銀行以外は、すべて外 資に資本支配されている。そのため、たとえ韓国銀行がスワップを利用して、銀行間市場 にドル資金を注入しても、そのドルは短期債務の決済に消えると同時に、欧米の親会社に 吸収される可能性が高い。 元はといえば、今回の金融危機は韓国のメガバンクの親会社である欧州系金融機関がそ の震源地となる。そして、欧州系金融機関は自らを守るため、世界各地の投資先から資金 の引き上げを始めているのだ。 この状況では、韓国金融当局が、銀行間市場にドルを入れても、すべてキャピタルフラ イトの形で流出する可能性が高いのである。 極端な話をすれば、にげてゆく欧州の銀行に対して、逃げやすいようにドルをばらまくこ とになりかねないのである。 しかし、ドルを用意し、市場に注入しない限り、金融危機は悪化し、通貨は下落、そし て、海外から原料を仕入れていたり、海外から資金調達をしている国内企業が破綻する可 能性も高いのである。 そして、それは現実のものとして姿を現し始めている。韓国が救われるには、国際社会 が危機解消に向けて大きく動き出すか、欧州の経済情勢が安定し、新たな借入が可能にな る以外方法はない。 当面ウォン相場から目を離せない。 ──────────────────────────────────────── 著者:渡邉哲也(作家・経済評論家) ホームページ:http://www.watanabetetsuya.info/ Twitter:http://twitter.com/daitojimari ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━… … …(記事全文2,272文字)
渡邉哲也の今世界で何が起きているのか
渡邉哲也(作家・経済評論家)