□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年11月16日第858号 ■ ============================================================= アジア安全保障協議に取り残される日本外交の敗北 ============================================================ きのう11月15日の毎日新聞が共同通信が配信した記事を小さく転載していた。 しかしその小さな記事は、これからの日本の安全保障政策を考える上で、これ以上重要なものはないと思われるほど重要な記事だ。 その記事は東南アジア諸国連合(アセアン)と日米中露など18カ国の外務・国防当局者が安全保障について話し合う初のワークショップが11月14日からブルネイで2日間の日程で始まったという記事だ。 おそらくこのワークショップが終った段階でいくつかのメディアが書くだろう。 その前に問題提起をしておきたい。 私がこの記事で最も注目したのは、アジア地域の集団安全保障体制にもつながりかねないこの新しい安保の枠組みづくりが、ロシアの提案によってなされ、中国がそれに賛同したというところだ。 そして私が失望したのは、この提案に対する日本政府の消極姿勢だ。 すなわち日本政府は、この提案が尖閣諸島や北方領土をめぐって主張の対立する中国やロシアの共同提案だから警戒しているという。 ロシアと中国の真意を慎重に見極める考えであるという。 なんというあきれ果てた対応であることか。 アジア集団安全保障体制づくりこそ、日本が主導権をとって率先して行なうべき日本外交の最大の課題であるはずだ。 そして憲法9条を持つ日本こそ、主導権が取れる唯一の資格を持つ国である。 日本は紛争を武力で解決することを放棄し、実践してきた唯一の主要国であるからだ。 その最大の日本の強みを活かさずに、ロシアや中国という軍事覇権国が提唱するいかさまのアジア集団安全保障体制にしり込みをしている。 なんという日本外交の敗北ぶりか。 興味深いのは米国の対応だ。 米国が参加しているということは、ロシアと中国が米国を参加させたということだ。 もし米国がロシアと中国が提案したこのアジア集団安全保障の枠組み作りを評価して参加するのであればこの構想は進展する。 日本だけが取り残されるという事である。 日本はますます米国に従属し、その存在感を限りなくなくしていくだろう。 はたしてこの共同通信が配信した小さな記事が、これからのアジアの安全保障問題の大きなテーマとしてどこまで発展していく事になるか。 目が離せない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)