□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月23日第400号 ■ ============================================================== アフガン混迷の原因を直視せよ ============================================================== アフガン撤退の出口戦略を話し合うNATO首脳会議が終わった。 それを各紙がそろってとりあげ大きく報じている。 どの報道もアフガン撤退後の治安の悪化を指摘している。 どの報道も、それでもNATOは撤退せざるを得ない、それは国内 世論の厭戦圧力と財政赤字圧力の故だと指摘している。 そしてどの報道も、そのツケは日本に回されると書いている。 ここまで書いているのだ。 それにもかかわらず、どの報道も社説のなかで日本はアフガン安定 に支援を惜しむなと書いている。 その支援金が治安悪化と汚職まみれの中で消えてしまうというのにだ。 こんな馬鹿な報道があるというのか。 その一方で各紙が決して書かないことがある。 それはアフガンをここまで混迷させた責任はどの国にあるのかという ことだ。 なぜアフガン混迷に無関係な日本がNATOの尻拭いをしなければ ならないのかということだ。 アフガンの混迷のすべては2001年10月の米国のアフガン攻撃 から始まった。 9・11に衝撃を受けた米国がアルカイダをかくまったアフガンの タリバン政権を一方的に軍事攻撃したことから始まった。 しかし、その後の10年あまりの間に世界が目撃してきたものは 何だったか。 おびただしい犠牲と引き換えにもたらされたアフガンの混迷と米国 に対する憎悪だ。 アフガン混迷の解決は米国がその非を認め、アフガンに謝罪し、 一日も早い撤退を行なうことしかない。 そしてアフガンの将来を国連の協力の下にアフガン国民にゆだねる ことだ。 そのための経済支援であれば生きてくる。 和平が実現すれば復興は急ピッチで進む。 世界はアフガン支援を惜しまない。 なぜこのような当たり前の事をメディアは書けないのか。 なぜ日本の政治家や有識者は、誰一人としてこのような当たり前の事が 言えないのか。 それはこの国のメディアも有識者も、外務省と一体となって対米従属に 安住しているからだ。 その外務省は7月にはアフガン支援会議を東京で主催するという。 その時にアフガン情勢はどうなっているかわからない。 その時に日本の政局はどうなっているかわからない。 アフガン情勢がどうなろうとも、政権がどうなろうとも、対米従属の 外務官僚だけが日本外交を担い続ける。 それをメディアが甘やかす。 日本外交が劣化していくのは当然である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)