□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月27日第832号 ■ ============================================================= 無能な外務省によってどんどん領土が侵害されていく ============================================================ 私は領土に固執する右翼的な人間ではない。 しかし、外務省の外交力のなさのために、みすみす主権放棄が既成 事実化していくことを見逃すわけにはいかない。 私が主権放棄と言えば日米同盟という名の米国の日本占領と相場が 決まっている。 外務官僚の言いなりになっている玄葉外相が、日米地位協定は改定し ない、運用で改善する(26日沖縄での記者会見)と、この期に及んで も言い続けている。 対等な日米関係はもはや野田政権では望むべくもない。 しかしこのメルマガで書くのは対米外交のことではない。 外務省の稚拙な外交は中国、韓国に対しても日本の主権を放棄しつつ あるのだ。 11月6日に長崎県五島列島沖の日本領海内に中国漁船が侵犯し、 逮捕された事件があった。 私は11月10日のメルマガ第788号と789号の二回にわたって、 「中国漁船の領海侵犯に毅然とした対応をしないこの国の政治」と題し て書いた。 今回のようにどう見ても日本側に非のない中国漁船の領海侵犯につい ては外交力を発揮し毅然とした態度で解決しなければならない、と。 さもなければ日本国民の反中国感情を刺激し、「だから日本も軍事力 を増強しなければなめられる」、「中国撃つべし」、という声をいたず らに煽ることになる、と。 それは憲法9条改正派をいたずらに勢いづかせることになる、と。 この私の思いは11月26日の東京新聞のスクープ記事を読んで怒り に変わった。 中国政府は日本に対し船長の早期釈放の圧力をかけていたというのだ。 すなわち東京新聞のその記事は、中国政府は船長逮捕の直後、『比較 的高いレベル』(外交筋)で日本側に船長の早期釈放を要求していた ことを明らかにした。 その東京新聞の記事では、これに対し日本側は「領海内であり正当に 国内法を適用する」と反論したことになっている。 しかし、結局は日本側が略式起訴ではやばやと中国船長を釈放した事 は周知の通りだ。 私がもっと深刻だと思ったのが最近の韓国の竹島問題についての行動 とこれに対する日本政府の対応である。 すなわち韓国政府は竹島に船舶が接岸できる埠頭や観光施設の建設を 計画していることがという25日に分かったという。 これに対し武藤正敏駐韓大使は「事実ならば受け入れられない」と 抗議したという。 しかしその日本の抗議に深刻さは感じられない。 もし武藤大使に抗議が韓国のこのような行動を阻止できないとすれば、 竹島の実効支配は既成事実化し、竹島は日本の領土から限りなく遠ざか ることになる。 韓国大統領の11月訪日が伝えられ、野田首相の訪中が12月にも 予定されている。 果たして野田首相はこれらの問題を提起し、どのように解決するのか。 メディアはそれをどのように報道するのか。 野田首相はここでも試されることになる。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)