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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

慰安婦基金構想を思いつきで口にした前原政調会長の愚
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月12日第716号 ■     =============================================================   慰安婦基金構想を思いつきで口にした前原政調会長の愚                                                             =============================================================  どうやら前原誠司という政治家の命運は尽きたようだ。  どういう事情があったのかは知らないが、外国人献金疑惑で外相を 辞めたばかりの前原氏は「俺しかいない」と、民主党代表選挙に急遽 立候補した。  その時点で前原氏は大きな判断ミスをしたと私は思っているが、その あげくに野田氏に大敗した。  その時点で前原氏の首相の目はなくなったと私は思っている。  しかし、私が前原誠司という政治家の命運が尽きたという理由は それではない。  政調会長となった前原氏が、これまでに輪をかけたように軽率な 思いつき発言を、あまりにも大きな問題について連日のように連発し ているからだ。  民主党政権の政策決定権は政調会長に集中する、その政調会長に させてやる、とまつりあげられた事で張り切っているのか、所詮は 政策決定権は首相と閣僚にある事を知って焦っているのか。  やたらに思いつき発言を繰り返して混乱を招く様は異常だ。  このような人物では危なくて首相を任せられない、となる。  米国に行って憲法9条否定の発言をする。増税幅について政府税制 調査会の決定と違う事を言う。原発再稼動を枝野経済産業相に催促し たりする。  その思い付き発言の数々は枚挙にいとまがないが、きわめつけは韓国 従軍慰安婦基金構想だ。  周知のように慰安婦賠償問題は村山政権時における日韓関係の最大の 懸案であった。  さんざん苦労したあげく、わが国はあくまでも賠償問題は昭和40年 の日韓基本条約で解決済みという立場を崩さず、民間基金(村山基金) で補償する形で決着した経緯がある。  当時私はその問題の直接の担当ではなかったが、同僚たちの苦労を 目の当たりにしてこの問題がいかに厄介な問題であったかを知っている。  村山基金はギリギリの叡知であったのだ。  それを、韓国がどのような政治的意図があるのかはわからないが再 提起してきたのは9月15日であった。  韓国外交通商省のアジア局長が日本大使館の行使を呼びつけて慰安婦 に対し日本政府が個人請求権を求めるよう政府間協議の開催を求めたのだ (9月16日各紙)。  このような大きな政治問題を、局長が公使を呼びつけて提起する韓国 政府の真意を私は疑うのであるが、私はこの報道を知った時、外務省は、 というよりも、日本政府は、やっかいな問題に直面したと思った。  早急に対応策を講じ、首脳レベルでの解決の道を探らなければならない と思った。  なぜならばこの問題は戦後の日韓関係の根幹にかかわる問題である からだ。  村山基金の繰り返しはもはや通用しない。  あの時の決着の筋を通すか、昭和40年の日韓基本条約の見直しを行 なうか、どちらかしかない。  そのような大問題を、前原氏は個人的思いつきで発言したのだ。  その言い方がまた仰天だ。村山基金は自民党政権時代に作ったものだ、 民主党政権でも何かしなければならない、と。  さぞかし外務省は腰を抜かしたことだろう。  果たしてこの発言も前原氏に思いつき発言で終わるのだろうか。  そうだとしたら前原氏の政治生命は終わる。  反対に、もし前原氏が慰安婦問題で自らの基金構想にこだわるのなら、 下手をすれば野田政権の命取りにもなりかねない。  前原慰安婦基金発言は、これまでの前原思いつき発言の中でも群を抜 いて深刻な発言なのである。                               了                 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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