□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月13日第717号 ■ ============================================================= 皆が税金にたかる世の中になった。国民間の公平さが重要だ ============================================================= 不景気が長く続き、金回りが悪くなると、最後に頼れるのは国家予算だ。 それは取りはぐれのない我々の税金で確保されるからだ。 そこで皆が国家予算を当てにする。 あらゆる政策は予算が絡んでくる。政策の決定や予算編成はつまるところ 税金の分捕り合戦なのである。 そこでの一番重要なことは国民間の公平さの実現である。 野田政権が出来て初めての政府・連合のトップ会談が10月11日首相 官邸で行われたと12日の新聞が一斉に報じていた。 その時古賀伸明連合会長が野田首相に真っ先に何を言ったか。 国家公務員の給与を平均0.23%引き下げるという人事院勧告を「実施 すべきではない」という事だ。 これは国民全体からみて公平な要求なのか。 苦しいのは国家公務員だけではない。働いている者はみな苦しいのだ。 国民は皆賃金カットやリストラで苦しんでいる。年金がもらえなくなり、 税金が上がり、手薄くなるばかりの社会保障、医療保険で不安を抱えて生き ている。 連合会長として野田政権に申し入れる優先事項はもっと他にあるのでは ないか。 連合はいまや民主党政権を支えている最大の票田だ。だから連合の意向が 政権に反映される。公務員給与の削減はできなくなる。 繰り返して言うが、これは国民全体からみて公平か。 そこで今日のメルマガの本題だ。 週刊朝日10月21日号に「なぜか政府がメスを入れない司法修習生の 埋蔵金問題」と言う記事があった。 その要旨はこうだ。 すなわち、法律家(裁判官、検察官、弁護士)の卵である司法修習生に 対し、国は1年間で一人当たり500万円の給費金を払ってきたという。 知らなかった。国民の多くは私と同様こんな制度があることを知らなか ったに違いない。 その給費金は、無駄削減のため昨年11月から廃止されることが決定して いたという。 給費制を廃止して貸与制を導入する事が04年の自民党政権下で決まって いたという。 ところが、それが覆されようとしているのだ。 10月5日朝、この給費金について議論された民主党の法務部門会議は 大荒れとなったという。 弁護士出身の民主党議員らが、「研修中の生活費が自己負担では余裕の ある人しか法曹を目指せない」と騒ぎ始めたからだ。 問題は司法修習生が恵まれた立場にある国民であることだ。 将来が約束された国民であることだ。 「弁護士、裁判官に飲み会に誘われると進んで参加しています。給費金 がなければ参加は無理です」などとお気楽な事を口にしている国民である ことだ。 その週刊朝日の記事はこう締めくくっている。 この司法修習生の給与費制度にメスを入れるかどうかの最終決定権は 建前では民主党政調会長の前原氏にあることになっているが、鍵は弁護士 出身で政調会長代理の仙谷由人が握っていると。司法制度を担当する平岡 法務大臣もまた弁護士だと。 果たして司法修習生の給費金支給制度は廃止されるのか。 こんなことは新聞では決して報道されない。 国民の知らないところで税金が不公平に分配されている事例は山ほど あるに違いない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)