□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年9月22日第664号 ■ ============================================================= パレスチナ独立問題についての立場を明確にしない政府とメディア ============================================================= パレスチナ自治政府による国連加盟申請が秒読みになってきた中で、 さすがに今日〔9月22日)の日本の大手新聞もこの問題を大きく取り あげている。 しかしそこには、日本政府の立場を書いた記事はない。 日本政府の立場を問いただした記事はない。 各社が自らの立場を明確に述べた記事はない。 政府もメディアもまるで傍観者だ。 今度のパレスチナ独立申請は、1974年にアラファト議長が オブザーバー資格を得たパレスチナを代表として国連で一般演説して 以来の歴史的意義を持つ。 それにもかかわらず日本政府とメディアのこの曖昧さはどうだ。 米国がはやくから拒否権を発動してまでも阻止する意思を表明した 一方で、中国外務省は9月19日に北京で記者会見を開いて、次のよう にこれを支持する方針を明らかにした(9月20日日経)。 「我々は、理解し、尊重し、支持する。独立国家建設はパレスチナ人 の奪うことのできない権利だ。中東和平の前提であり基礎でもある」 中国は近時、米国ともイスラエルとも良好な関係維持の外交を進めて 来た。 それにもかかわらずパレスチナ問題については正反対の立場を貫き、 それを世界に明言した。 ひるがえって日本はどうか。 いつまでたっても沈黙を守ったままだ。 何かといえば政府の方針を問いただすメディアが、このパレスチナ 問題に限っては政府の立場を問いたださない。 何かといえば政府の説明責任を求めるメディアが、立場を明らかに しない日本政府を批判しない。 そんな中で9月22日の東京新聞が「米国は現実を直視せよ」と題し て明確なパレスチナ国家支持の社説を掲げた。 1974年のアラファト議長の国連登壇光景を次のように再現し、歴史 はパレスチナを見捨てなかったようだと書いた。 「・・・アラファト議長は、右手に平和の象徴オリーブの枝を、腰には 空の短銃ホルスターを下げて登壇、こう述べた。 『皆さん、どうか私の手からオリーブの枝を落とさせないでください』・・」 あれから、40年近くたち、アラファトは世を去り、その右腕であった アッバスが再び歴史に挑む瞬間だ。 アラファトを裏切り、米国に寝返ったと批判され続けてきたアッバスが パレスチナ人の悲願をどこまで貫くのか。彼としても正念場だ。 折から起きた「アラブの春」が彼の背中を押すことになるのだろうか。 果たして日本政府はこの歴史的瞬間に、どこまで誠実に向かい合うことが できるのか。 その時日本のメディアはそれをどう評価するのだろうか。 政府が賛成票を投じるなら、私は頭を丸めて土下座する。 政府が反対票を投じるなら、野田、玄葉の対米従属外交極まれり、と批判 する。 しかし、どちらにしても政府はその立場を明確にする訳だから、その限り では立派だ。 実際はそのどちらでもない棄権になるだろう。 9月22日の朝日新聞がニューヨークで記者団に語った玄葉外相の言葉を 次のように報じている。 「パレスチナ国家樹立への悲願は理解する」としつつも、「(イスラエル との)直接交渉で行うという大原則が日本政府の立場」と述べ、パレスチナ 加盟申請問題への対応に慎重な姿勢をみせた、と。 意味のない言葉だ。矛盾した言葉だ。これまでどおりの官僚答弁だ。 イスラエルとの直接交渉ではパレスチナの独立は永遠に叶わなかったから こそ国連に申請せざるを得ないのである。 最後まで態度を不明なままにする「棄権」こそもっとも卑怯な態度表明だ。 日本政府の対応とそれに対するメディアの反応はもうすぐ明らかになる。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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