□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年8月12日第571号 ■ ============================================================= 菅政権末期で決定されたすべての政策は見直されることになるだろう ============================================================= いま目の前で行なわれていることはすべて無茶苦茶だ。 菅首相が退任条件にあげた3法案はいずれも国の根幹にかかわる重要 法案である。 しかも原発事故賠償法案や再生エネルギー法案は菅首相が延命をかけ て実現すると公約した菅首相にとっての重要法案だ。 それがここまで中途半端なかたちで駆け込み決定されようとしている。 その理由は簡単だ。 これら3法案が菅首相を辞めさせるための最低条件であるからだ。 菅首相を辞めさせたい自公と、菅首相をもっと強く辞めさせたいと考え る民主党執行部が、だから法案の中味よりも成立を優先させて手を結んだ。 しかも、菅首相を辞めさせたい一心の民主党執行部は、自公の要求を丸 呑みしてまで法案成立を優先させた。 これは無茶苦茶な話だ。 と、ここまでは誰もが思うことだ。 だれもが語り、だれもが書いていることだ。 しかし、私がここで言いたいことはそれだけではない。 この法案成立にかける熱意が菅首相にはまったく見られなかったことだ。 特に再生エネルギー法案に関する菅首相の無関心振りを見逃すわけには いかない。 俺の顔を見たくなければ通せとまでいった菅首相が、その法案の中味に ついて自らの考えを何一つ語らず、それを実現しようと汗をかいた気配が ない。民主党執行部に丸無げ(8月12日読売)だ。 こんな矛盾したことがあるだろうか。 もし菅首相が本気で脱原発を進める覚悟であるなら、再生エネルギー法案 の中味に関心が向かわないはずはない。 再生エネルギーの買い取り価格をいくらに設定するかは、今後再生エネル ギーの開発が進むかどうかの決定的要素だ。 買い取り価格の負担分を消費者に転嫁するか電力会社に負担させるか、 あらたな税負担にするか、大量消費者である大企業に割引価格を適用する か、などはいずれも国民と大企業のどちらを大切にするかという政治の基本 姿勢にかかわる問題だ。 しかし、これらについて菅首相の姿は見えずじまいだった。 朝日新聞までも「脱原発尻すぼみ」と書かれる始末だ(8月12日)。 菅首相には、本人にその気があれば徹底して延命を図る手段はあった と私は思っている。 すなわち彼が本気で脱原発を願うのであれば、それを実現するための 最善の再生エネルギー法案を成立させるべくみずから指導力を発揮し、 自民党や官僚や財界と対立すればよかったのだ。 そうすれば法案は容易には通らなかったはずだ。 自分の思う通りの法案ができるまで首相にとどまって頑張ると叫んだ ほうが筋が通ったはずだ。 そして再生エネルギー法案の中味をめぐって対立が続き、最後は脱原発 を本気で進めるためにはどちらの再生エネルギー法案がいいのか、国民に 判断を委ねればよかったのだ。 彼にはその気がまったくなかった。 それどころか自公と民主党執行部の妥協があっさり成立した後は、一転 して辞める方向に舵を切った。 なぜか。 それは決して悔しさまぎれの強がりだけではない。 権力に連綿としているのではないことを示そうと格好をつけているだけ ではない。 辞めた後の政局においてなお自らの影響力を残そうと思うからだ。 彼は首相を辞めたあとは夫婦でお遍路めぐりでもするかと言っていた。 これも真っ赤なウソになるというわけだ。 思えば6月2日のいかさま辞任演説で、自分が辞めたあとは世代交代だと 菅首相は強調した。これは自分が辞める時は宿敵である小沢、鳩山もろとも 政治から引退させようとしたからだ。 ところが、小沢も鳩山も今後の政局で再稼動することが明らかになった今、 自分もまたその中にとどまって影響力を行使したいというわけだ。 一生を政治屋で過ごし、額に汗したまともな人生を送った経験のない者 たちは政治から足を洗うことは出来ないのだ。 中途半端は3法案だけではない。 経産省から原子力安全庁を切り離すことが、官僚組織を何も理解してい ない社民党や細野原発事故担当相の主張どおり環境省の外局に置かれること で決着したという。 見ているがいい。三流官庁の、そのまた下部機関である外局では何も出来 ないだろう。 それを一番知っているのは環境省の官僚たちだ。だから一番戸惑っている のは環境庁なのだ(8月12日毎日)。 まだある。 国民新党のゴリ押しで、今頃になって郵政改革見直し法案が審議入りすると いう。すべてがポスト菅に向かって走り出した中で、誰がまともな審議に付き 合うというのか。 菅政権末期に次々と粗製乱造される法案や政策は、政権が変わった時点で すべて見直されることになるだろう。 それを知ってか知らずか菅首相は最後の贅沢三昧を繰り返している。 8月11日の「首相の一日」は、こうなっていた。 18時38分 麻布台の米沢牛専門料理店「雅山」で岡田幹事長、藤村 幹事長代理らと食事 19時33分 ホテルニューオータニの日本料理店「岡半」で安住国対策 委員長、斉藤国対副委員長と食事 因みに前日10日の夜はこうだ。 18時36分 東京赤坂のすし店「赤坂鮨金ちゃん」。民主党の寺田学、 加藤公一両議員と食事。19時48分。阿久津内閣府政務官加わる。 とても震災復興や原発被害に全力投球している首相とは思えない。 何もかもがいかさまだ。今の政治はすべからく国民無視である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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