□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年8月8日第565号 ■ ============================================================= 原発輸出を継続するという閣議決定の背景にあるもの ============================================================= 菅民主党政府は8月5日、当面は海外への原発輸出を継続するとともに、 すでに合意文書に署名しているヨルダン、ベトナムなど4カ国との原子力 協力協定に向けた国会承認を求める方針を閣議決定した。 これは自民党の小野寺五典衆院議員の質問主意書に対する答弁書を閣議 決定したことによる。 菅首相の脱原発方針は首相の個人的な考えであるのに対し、閣議決定は 菅首相も含めた全閣僚の合意である。 これが菅民主党政権の方針なのである。日本の方針である。 それを菅首相も了承したのである。 やはり菅首相の脱原発は信念に基づいた確固としたものではなかった ということだ。 いくら自分の国の原発をなくすと言って見たところで、それを外国に 売りつけるなどというのは、反原発論者にとっては許されない事だ。 しかし、この菅首相の矛盾が、彼個人のいい加減さから来るのではなく、 対米配慮から来るとしたらどうだろう。 この点について発売中の週刊SPA!8月9日号に、注目すべき記事 が掲載されていた。 日本の脱原発をオバマ大統領が絶対に許さないというのだ。 その記事の趣旨はこうである。 日本の原発技術の主要部分はすべて米国から移転されたもので、米国と 原子力協定を結んでいない国には勝手に輸出できない。 この事は、逆に言えば世界的な原発拡大を促すオバマ政権の戦略がある からこそ日本は新興国に原発を輸出できるのだという。 エネルギー需給が逼迫する中印など新興国が原発導入を白紙化する訳が ない。 こうした世界的な原発導入の拡大が、オバマ大統領をして新興国に対す る原発技術支援を継続するという3月30日の演説につながったという。 おまけに米国はブッシュ政権の時に核不拡散条約の枠組みを形骸化した。 核不拡散条約に加盟していないインドと原子力協定を結んでインドの 原発開発を容認どころか、支援までしている。 要するに日本は韓国と並んで、米国の安全保障政策に沿って、原発輸出 の準備を進めざるを得ないのだ。 米国の戦略に組み込まれているのは日本の産業界も同様だ。 原発輸出のため、日立はGEと組み、東芝はウェスティングハウスを 買収した。いずれも米国にとって戦略的に重要な企業であり、その活動に は米国政府や米議会が強い関心を寄せている。 こうした状況を考えると、日本単独での脱原発は難しいのだ。 いやそれどころではない。日本は自国の原発の存続に決定権はない、と までSPAの記事は書いている。 菅首相の脱原発は単なる絵空事だ、とまで書いている。 しかし、私はそうは思わない。 もし菅首相がその気になって米国と協議する強い意思があれば、もち ろん脱原発は出来る。 しかも中途半端な脱原発ではなく、人類と核は共存できないという考え に立った本物の脱原発を実現することはできるのだ。 たとえ米国の了解を得るまでに時間がかかろうとも。 菅首相の限界はまさしく米国との関係にある。 対米従属から抜けきれない限り菅首相の脱原発宣言も、所詮は米国の手の ひらの上で踊らされる脱原発にとどまらざるを得ないのだ。 我々が目の前にしているのは、まさしく対米従属ゆえの菅首相の脱原発 宣言の迷走なのである。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新しいコメントを追加