□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月27日第539号 ■ ============================================================== 再度言う。 原発賠償法は菅首相の脱原発宣言の試金石である ============================================================= 昨日のメルマガ第534号で私は原発賠償法の成立を急げと書いた。 それに対して審議中の原発賠償法に反対する立場の読者から、あなたは その法案を支持するのかという反論が寄せられた。 そんな事は一言も言っていない。むしろ逆だ。正しい法案の成立を急げ と言っているのだ。 そしてその成立に菅首相が正しい政治指導力を見せないのは卑怯だ と言っているのだ。 しかし菅首相にはまったく気がない。声も姿も見えない。 だから菅首相の脱原発は掛け声だけのいかさまだと言っているのだ。 つまり菅首相の脱原発政策批判なのである。 再生エネルギー法案と原発賠償法は表裏一体である。 前者は未来に向けた明るい法案だ。後者は敗戦処理の暗い法案だ。 しかし二つに共通している問題がある。脱原発を本気で進めようとすれば、 つまるところ東電という一大国策会社を潰す覚悟があるかという所に行き着く。 菅首相は再生エネルギー法案だけを言い、しかも、その法案でさえ、 買取価格ばかりに目を向かわせて、電気料金値上げによる国民への負担転嫁 とか、送電分離問題の先送りなど、東電存続の根幹にかかわる問題については 巧みに逃げているが、そのことはここでは問わない。 ここでは原発賠償法に限って指摘する。 衆議院復興特別委員会で26日の通過した法案はすべてを先送りしている 骨抜き法案であり、今後この法案についての更なる議論は必至だからここで 私の考えをさらに書いて見たい。 実はこの原発補償法案ほど重要で難しい法案はない。 私の考えるこの法案の本質は次の通りだ。 1 賠償の対照、範囲、金額をどう適正に規定するのか。それは毎日のように ひろがりを見せるセシウム汚染も含め気の遠くなるような作業である。しかし 被害者を迅速に、手厚く救済する必要性があるという観点に立って早く政治 決断すべき最重要政治課題である。 2 当然のことながらその額は膨大なものになる。その負担は東電幹部、社員、 株主、金融機関らの負担でなされるべきだが、それでも足りないに違いない。 東電の債務超過は避けられず、東電は破産する。 3 それでも救済は行なわれなければならないから国の負担は不可欠である。 しかも国の負担は単に東電の負担の不足分を補うという二次的意味にとどまら ない。原発政策を国策として進めてきた歴代の自民党政権とそれを引き継いだ 民主党政権があり、それらを支えてきた官僚の責任もまた大きい。すなわち 国にも積極的な責任があるが、その負担は増税ではなく、政治家、官僚の自己 負担の形で責任が問われなければならない。 4 特に菅政権には今度の福島原発への政策責任がある。事故直後の放射線拡散 を正しく国民に知らせず、被曝対策を迅速、適切に行なわなかったことが4ヶ月 たった後にここまで汚染が広がった原因であるとしたら、その責任は重大だ。 5 要するに原発補償問題は、直接・間接の被害者である国民に対して、加害者 である国、政治家、官僚、東電がどう賠償するかの問題である。彼らは内輪もめ することはあっても所詮は協同してきた加害者なのである。加害者がどのように 負担を分担するかは加害者どうしの問題であって、それを安易に増税や電力料金 値上げで被害者である国民に転嫁させることは筋違いだということだ。 6 そもそもこれまでの原発基本法は、今回のような事故をまったく想定しない 中で官僚の利害で作られたものである。福島原発事故が起きた今、根本的なとこ ろから議論して法律を作り直さなければならないのだ。 ざっと考えてもこれだけ大きな問題があるのに、今度の原発賠償法案をめぐる 議論は国民に十分知らされることなく彼らだけで議論され、決められようとして いる。 その議論の中に菅首相の姿は見えない。彼の意見が少しも伝わらない。 そこが問題だと言っているのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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