□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年5月1日発行 第310号 ■ =============================================================== それでも菅政権は長くない =============================================================== 日々の報道を見ていると菅首相は、「辞めるもんか」とますます 政権に固執しているようだ。 彼がそれほど強気になれるのは、「大震災の非常時に菅降ろしに 走ることは世論の支持が得られない」ということと、「代わりの者 がいるのか」ということである。 そうかも知れない。 しかしそれでも菅政権は長くないと思う。 私がそう思う理由はこのまま菅政権が続いていくと、その誠意の なさと無策により、早晩被災民の不満が爆発するだろうと思う からだ。 一向におさまらない放射線被害の不安もそうだが、被災民が緊急 に必要としている仮設住宅の提供があまりにも遅い。 住居を失って体育館などで日々の生活を強いられている人たちが 一日も早くと訴えているのに、「遅くともお盆の頃までには」と 国会答弁した時、なぜそんな悠長なことが言えるのかと思ったのは 私一人ではないはずだ。 しかし、4月30日の新聞を読んでもっと驚いた。 読売新聞「政治の現場」の記事はこう書いている。 「・・・26日の衆院予算委員会で、菅首相は仮設住宅への入居に ついて、『遅くともお盆の頃までには希望者全員に入っていただける よう全力を挙げる』と表明した。しかし、翌日開かれた政府と各党の 実務者協議で、国土交通省の官僚は『首相の思いを大切にしたい』と 述べただけで、野党側は『あれだけ首相が明確に答弁したことが、 内閣の方針にならない。がくぜんとした』(石田祝稔公明党衆院議員) と不信感を募らせている・・・」 東京新聞社説はこう書いている。 「・・・被災者が切望する仮設住宅では首相が『お盆のころまで』の 入居完了を目指すとしたが、国土交通省は9月末でも6割程度しか完成 しないとの見通しを示す始末だ・・・」 これを要するに菅首相は官僚を掌握出来ていないということだ。官僚 が菅首相を見限っているということだ。 元官僚の私が言うのだから間違いない。面従腹背がお家芸の官僚を 使いこなすには、おだて上げてその気にさせるか、強い指導力で動かす か、この二つしかない。 菅首相にはそのいずれもがない。彼は本来的には官僚嫌い、官僚不信 であるのに、政権維持のために官僚に迎合した。 だからいつまでたっても官僚を使いこなせないのだ。官僚たちが菅政権 に冷やなのだ。 見ているがいい。これでは政策を実現しようとするたびに、ことごとく 齟齬と摩擦が起きる事になる。 私が菅政権は長くないと思う理由がそこにある。 了
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)