□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年5月31日発行 第191号 ■ ───────────────────────────── 誰も書かない韓国哨戒艦沈没事件への正しい対応策 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 福島罷免の直後に笑みを浮かべながら韓国に飛び立った鳩山首相は、そこで次のように 語ったという(5月31日朝日)。 「仮に日本が同じ攻撃を受けていたなら、韓国のように冷静で落ち着いた態度を保つことは難しかった」と。 これは韓国の李明博大統領が日中に同様の事件に遭った際の対応をたずねた事への鳩山首相の返答だったという。 驚くべき発言である。 私は旧勢力がここぞとばかりに浴びせかける鳩山首相批判にはまったく与しない。 しかし鳩山首相の外交・安保政策に関する軽い発言の繰り返しについては心底失望している。 間違いなく彼には外交・安全保障政策に関する信念はない。これでは官僚に抑え込まれるはずだ。 米国の圧力に屈するはずだ。 韓国哨戒艦沈没事件に対する日本の論調は強硬論一色だ。たとえば今日5月31日の各紙の社説は 一様に中国に北朝鮮への圧力を求めている。 それで正しい解決につながると本気で思っているのだろうか。 北朝鮮を追い詰め、北朝鮮の暴発による戦争が起きてもいいと本当に思っていのか。 それとも戦争は起こらないと根拠なくたかをくくって北朝鮮をたたいているのだろうか。 この問題は行き詰まりつつある。 米国が普天間基地問題が決着したから関係ないと見えてさっさと手を引いたかのようだ。 こぶしをあげた李明博大統領は対応に苦慮しつつあるかのようだ。 なぜこうなったのか。 それは韓国が初動の対応を誤ったからだ。 事故か攻撃かを曖昧にしたままいたずらに時間を費やし、ある時点から急に北朝鮮の攻撃を疑い始めた。 そして国際合同調査団という名でごまかした韓国軍と米英豪の有志連合による調査を始めた。 極めつけは、その調査報告で北朝鮮の魚雷攻撃と断定して公表したことだ。 これでは北朝鮮ならずとも引き下がれないだろう。 私は北朝鮮を擁護しているのではない。北朝鮮の過去の行動から見れば北朝鮮の魚雷攻撃の可能性は 大いにありうる。 しかし国際政治においてはルールがある。そのルールに従って、ルールを破った国を厳しく罰する、 それが正しい対応である。 韓国は今になって国連安保理による制裁を強く求めている。順序が逆だ。 真っ先に韓国が取るべきだったのは、国連による調査を求め、国連の調査結果を待って国際社会の一致した 対北朝鮮制裁を行う、これである。 そんな事をすれば中国の反対にあって何も進まない、という声が聞こえてきそうだ。 そうかもしれない。しかし、それでも国連憲章に従って紛争の平和的解決と、それが無理な場合の強制措置 という手続きを踏むべきなのである。 さもなければ米国のイラク攻撃と同じ事になってしまう。 なによりも、紛争の平和的解決の努力を最後まで尽くす、という国連憲章の精神を踏みにじる事になる。 いつから日本は国連中心主義を捨て去ったのだろうか。冷戦が終わったというのに、ここまで日米同盟重視 に傾いていったのだろうか。 鳩山首相は、あたかも普天間基地移設問題の迷走で招いた米国の不信を取り戻そうとばかりに、この韓国船 沈没事件では米日韓の結束をやたら強調する。 その一方で中国は次のように世界に公言する。 「当面の急務は、緊張を緩和することだ。特に武力衝突は避けなければならない。各国と積極的に協調し、 事態を平和と安定の方向に進める」(温家宝首相)。 どちらが正しい対応かは自明であろう。 たとえ中国が自らの国益のために北朝鮮を擁護しようとしているとしても、だ。 いや、私はそれだけではない、と思っている。 どのような理由があるにせよ、南北朝鮮が再び交戦するようなことがあってはならない。それが招くアジアの 同胞の間でのおびただしい犠牲だけは、避けなければならない。そう本気で中国は思っているに違いない。 これこそが憲法9条を誇りにする日本の首相が真っ先に発する言葉ではないのか。 私は普天間基地の対応よりも、韓国哨戒艦沈没事件に見せる鳩山首相の対応のほうにより失望を感じている。 因みにこの韓国哨戒艦沈没事件については次のような記事を見つけた。右翼月刊誌WILLの7月号に 九段靖之介というペンネーム氏がこう書いていた。 「・・・あれは米韓合同演習中の事故だったとの情報を小耳にした。これについて日本の新聞は一行も 触れていない。(気にかかったので)インターネットで「米韓合同演習 天安」とキーワードを入れると、 関連の情報が出るわ出るわ。現場近くに米国原潜らしきものが転覆している写真・・・ハワイから参加した 米原潜二隻のうち一隻がいまだ帰港しないと騒いでいる・・・米軍ヘリが米兵の死体とおぼしき物体を釣り上げ て運び去る映像・・・日本のマスコミはもっぱら北の魚雷説を報じているが韓国でこれだけ大騒ぎとなっている 衝突説を報じない・・・李明博にすれば、本当に苦慮しているのは北への対応ではなく、アメリカへの対応となる 。核を積んだ米原潜が入れ替わり立ち代り(韓国領海に)潜っていた、その事故は天安より危険をはらむ。 これをアメリカと一緒になってどう(国民に)隠蔽するか・・・情報が錯綜して様々に考えられるが、 とにもかくにも情報を抑えずに提供する姿勢が日本のマスコミには欲しい・・・マスコミがインターネットに 日に日に食われていくのも当然だ・・・」 右翼の雑誌がここまで書いているのである。 我々は日本の報道だけに頼って判断をしてはいけないということだ。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年5月31日発行 第191号

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