□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年3月10日発行 第70号 ■ ───────────────────────────── 密約公表が鳩山民主党外交に突きつけた重い課題 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 予言したとおり今日10日の各紙は核密約報道で埋め尽くされている。 それらのすべてに目を通した上で目のくらむ思いがした。 日米同盟がこの国の戦後史を捻じ曲げ、この国の指導者たちの良心を蝕んできた事 を思わずにはいられない。 自業自得とは言え、日米同盟を最優先してきたこの国の政治家や官僚や御用学者たちは、 負い目を背負い、自らを偽って仕事をしてきたということだ。 これではまともな対米外交が出来るはずはない。 そして、日米同盟を国民よりも優先する政策が続く限り、今後も密約と欺瞞は続く。 鳩山民主党政権の対米外交が、今まさにその決断を問われているのだ。 今回の密約公表を単なる自民党政権の糾弾で終わらせてはならない。 今度の密約公表を新しい対米外交の始まりにしなくてはならない。そしてそれは 鳩山民主党政権に重い課題を突きつける事になる 外務省の手による報告書が出た。 有識者と言う名の御用学者たちによる報告書もでた。 次は国民の手による本当の評価が行われる番だ。 外務省が公表した極秘文書はおそらくその一部だろう。 外務省が有識者委員会に見せた極秘文書のすべてが国民に公表されるとは限らない。 しかしそれでも、これまで決して公表されなかった貴重な極秘文書が多数公表された。 それを在野の歴史家や外交評論家、外交ジャーナリストたちが時間をかけて分析、評価し、 それを国民に知らせるのだ。 そうする事によって、鳩山民主党政権に圧力をかけるのだ。 自民党政権では決して出来なかった対米自主外交を鳩山民主党政権が行えるように、その背を 国民が押すのだ。 このままでは鳩山首相は自民党の歴代首相と同じ誤りを繰り返す事になる。 すでに鳩山首相は限りなくその方向に向かっている。 今度の核密約公表に際し、鳩山首相は、一方で米国の核抑止力の重要性を強調しながら、他方に おいて非核三原則を守るという大きな矛盾を、いとも簡単に口にしている。 その軽さ、無責任さを私は危惧する。 日米外交はそんなに軽いものではない。戦後のすべての政治家が、その主義、主張の違いこそ あれ、政治生命をかけて、苦しみぬいて、決断し、行ってきたのだ。 私には見通せる。鳩山首相は普天間基地移設問題でも国民を裏切る事になるのではないかと。 国民をごまかす決着に汲々としているのではないか、と。 それは一言でいえばこういう事だ。 5月に発表される決着は、海兵隊の全面的なグアム移転というサプライズの形を取るもの になるだろう。米国の譲歩と見せかけるだろう。 しかし、その一方で、グアム移転が完了するにはしばし時間がかかる、その間においても 米国の抑止力は損なわれてはいけない、だからしばらくの間、沖縄県民や代替施設を分散する 住民たちには我慢をしてもらう、これである。 社民党は、自らの主張が通った、これで連立政権に大手を振ってとどまることができる、と 胸を張れる。 米国はそもそも沖縄海兵隊のグアム移転を自らの政策判断として決定済みである。過渡的な措置 として納得できるものであれば何でも受け入れられる。それで大きな見返りが得られるのなら。 かくして解けないはずの連立方程式が手品のように解決する。 何のことはない。これはまさしく橋本政権以来の自民党政権が行ってきた事だ。 いや、それよりも悪い。 普天間から他の場所に移すだけ、余分のエネルギーと負担がともなう。 米国に譲歩の振りをさせる見返りに、より多くの経済負担を米国に要求され、それを引き受け ざるを得なくなる。 もしこのような解決策を鳩山首相が考えているのなら、それは国民を欺く事になる。 鳩山首相は国民を偽ってはならない。それが対米従属であれ、対米自立であれ、自分の信念を 正直に国民に提示し、国民の審判に委ねるべきだ。 鳩山民主党政権に国民の目をくらまし続けた自民党政権の誤りを繰り返させてはいけない。 そのために国民は鳩山首相を叱咤激励し、正しく導いていかねばならない。 _________ 天木直人のメールマガジン 2010年3月10日発行 第70号

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