□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン 2010年2月13日発行 第44号 ■ ────────────────────────────── 「鯨肉持ち出し逮捕」は人権規約に違反すると断じた国連人権理事会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一般国民は誰も関心を抱かないこのような記事こそ重要だと思うので書いて見る。 2月13日の毎日新聞の国際面につぎのような一段の小さな記事があった。 「環境保護団体グリーンピース・ジャパンのメンバーが調査捕鯨船乗組員の鯨肉を盗んで 逮捕・起訴された事件で、国連人権理事会の作業グループが『逮捕は国際人権規約に違反する』 との意見書を日本政府に送っていたことが分かった・・・」 この事件とは、08年4月に、グリーンピース・ジャパンのメンバーが、捕鯨船乗組員が自宅に 宅急便で送ろうとした鯨肉に横領目的の疑いがあるとして、それを突き止めるために運送会社に 侵入して持ち出そうとした事件である。 捕鯨たたきに反発する国内世論や、グリーンピースにマイナスのイメージを持つ国民が多い 日本では、この事件は、グリーンピース・ジャパンの窃盗行為は悪だ、という雰囲気でメディア から消えてしまった事件である。 ところが国連人権委員会が日本政府に対して、この逮捕は国際人権規約違反だと断じて日本政府 に意見書を送っていたのである。 その背景には、「公共の利益に反する行為を告発するのは正当な行為である」とする欧米の 価値判断があることは言うまでもない。 今回の事件について、私はいずれか一方に与するつもりはない。しかし、こういう形でこの問題が 再びメディアで取り上げられることになった事を歓迎する。 私の外務省時代の経験から言えば、日本政府は、国際条約で認められている調査捕鯨の名を借りて、 商業捕鯨まがいの捕鯨をしていたという疑いが常に国際社会から持たれてきた。 その上に、もし調査船の乗組員が、個人消費の目的であれ、ましてや他人への贈与・売却目的で、 調査捕鯨で入手した鯨肉の一部を横領しようとしていたとすれば、これは看過できない一大 スキャンダルである。 しかも、それを日本政府が黙認していなかったのか、という深刻な疑惑もでてくる。 日本の国際的イメージは失墜し、日本政府の責任が厳しく追及されることになる。 世論の目をそらすためにグリーンピース・ジャパンを一人悪者にして終わらせようとすることが あってはならない。 訴訟においては真実が明らかにされ、その真実に基づいて公正な判決が下さなければならない。 少なくとも国連人権理事会の意見書では「市民が汚職の疑惑を調査する自由は保障されなければならない」 と判断を下した。 毎日新聞の記事は、この人権理事会の意見書には強制力はないとしているが、問題は強制力の有無 ではない。その判断が正しいかどうかだ。しかも国際的に見て正しいかということだ。 初公判は2月15日に青森地裁で行われるという。 果たしてメディアはどこまでこの訴訟を問題意識を持って報じるであろうか。 そしてその報道は どのような物になるのだろうか。 この判決の行方は、鳩山民主党政権の評価をも試す事になると思って私は注目している。 _________ お知らせ 以下の通り案内します。 2月26日(金) 午後5時30分開場 パネルディスカッション 水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授) 天木直人 平岡秀夫(衆議院議員・民主党) 場所 弁護士会館2階 講堂クレオ 東京メトロ 霞ヶ関駅 出口B1-b 問い合わせ 第二東京弁護士会 人事課 03-3581-2257 天木直人のメールマガジン 2010年2月13日発行 第44号

新しいコメントを追加